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リチャード・リンクレイター監督「6才のボクが、大人になるまで」

◇6才の男の子が大学生になるまでをサラサラと描いたもの。変わっているのは、子役の成長をまんま映画に撮るというアイディア。6才坊やの子役は撮影開始時、リアル6才。その子の18才までの成長過程を映画に活かすという算段。「おしん」を田中裕子に名ト…

○バイク曲芸を披露する球形の檻は目に見えない宿命の暗喩か。−「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」感想。 ◇巡業曲芸のバイク乗り。奴のあまりに無分別な奴の非道が実は父の息子を想う無償の愛に由来するとするというハナシ。父の無償の愛情がテーマ。…

○トルストイ作品がキーラの美貌と大発明的演出で蘇る! ◇映画「アンナ・カレーニナ」を観た。 ロシアの文豪トルストイ原作の不倫もの。キーラ・ナイトレーが不倫に走り、人生の歯車がぶっ壊れたアンナを妙演。相手役アーロン·テイラー·ジョンソンもイケメン…

○コーエン兄弟監督「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」感想。フォーク版フーテンの寅のフガフガな日々。 ニューヨーク。売れないフォークシンガー、ルーウィンの一週間を描いたもの。金欠。友人宅を転々と泊まり暮らす日々。そんなある日…

○池脇千鶴、菅田将暉、高橋和也、伊佐山ひろ子という手練が演技怪獣として次々と綾野の前に立ちはだかる。− 呉美保監督「そこのみにて輝く」感想。 ◇弟役の菅田将暉の実質主演映画とといってもイイ。菅田くんオファーバンバン来るはず。もちろん池脇さんもオ…

○俺人生のベスト級の一作!人間の皮被ったクズが清々しく愛おしい。− マーティン・スコセッシ監督「ウルフ・オブ・ウォールストリート」

◇株屋なんて顧客のことなんかコレっぽちも考えてないかなね!って偏見に満ちた映画です。 え?偏見は良くない?けど、世の中の株屋さんは、この映画に抗議したりしない。なぜか? 損だから。抗議することでデカプリオに塩を贈りかねないと算盤はじくわけです…

○運命を狂わせる女が必ずしも美人である必要はないと知った。− アレキサンダー・ペイン監督「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ」感想。 ◇原題は「election(選挙)」。生徒会選挙をめぐる野心全開の女子と教師のはなし。 トレイシーは、のし上がる…

○高畑勲監督「かぐや姫の物語」感想。 ◇高畑勲「かぐや姫の物語」を観台詞にたよらずリアクションで胸の内に迫る演出。た。芥川龍之介の「羅生門」とか「鼻」のようなアプローチ。あれを漫画アニメーションでやるぞっという野心があふれていた。月に居た頃の…

○キャラクターアイテムとしての趣味。ー 映画「サイドウェイ」反芻。 ◇アレクサンダー・ペイン監督の「サイドウェイ」は好きな映画のひとつ(以前書いた評はこちら)。演出がすぐれてる。とにかく、主人公マイルスのキャラクターを観客に伝える趣味選定が素…

○「パシフィック・リム」とか「風立ちぬ」とか「ガッチャマン」とか。話題の映画はわんさかある。けど、今見るべき映画は「恋の渦」っしょ!ー 大根仁監督「恋の渦」感想。 ◇「恋の渦」、劇団ポツドールの同タイトル芝居の映画化。ヤンキー崩れとそのツレた…

○ウェス・アンダーソン監督「ムーンライズ・キングダム」感想。 ◇ボーイスカウトのサムと思春期で扱いの難しい少女スージーの駆け落ち顛末記。ウェス・アンダーソンの最新作。追随を許さないオサレな画づくりは健在。厭味なほどの美意識と一抹の寂しさが絶妙…

○サバの骨とほうき − 宮崎駿監督「風立ちぬ」感想。 ◇「魔女の宅急便」に似ている。トンボも二郎、ふたりともメガネ男子。二作はほぼ同じハナシで、裏表の関係と感じた。「魔女〜」が女の子メインの物語。本作「風立ちぬ」は男視点の筋立てという感じ。宮崎…

○セス・ゴードン監督「モンスター上司」感想。 ◇降りかかる災難へのリアクションが笑いを生む。アメリカのコメディが日本でスベるのは、アチラの災難にボクらが共感できないものから。かりに共感できてもリアクションが日本じゃムリだったりする。 けど「モ…

○ジェイソン・ライトマン監督「ヤング≒アダルト」感想。 ◇アラフォー女が生まれ育った街への「凱旋帰国」し、ひと騒動起こすハナシ。 予想外にいたってコメディーっぽい。「ヤング≒アダル」、完全に女版「寅さん」!中高生向け小説の作家メイビス(シャーリ…

○リチャード・リンクレイター監督「僕と彼女とオーソン・ウェルズ」感想。 (ネタバレを含みます。観賞後にお読みになることをお勧めします) ◇ほろ苦青春映画。「オーソン版「ジュリアス・シーザー」初演にこぎ着けるまでを描きつつ、その舞台裏で殺された…

○ポール・トーマス・アンダーソン監督「ザ・マスター」感想。 (内容に踏み込んでいるので、本作観賞後読むことをおすすめします) ◇「ザ・マスター」は、あるカップルの話。 カップルと言っても男女じゃない。男と男。新興宗教の教祖と教団に迷い来んだけど…

○森田芳光監督「僕達急行 A列車で行こう」感想。 ◇「僕達急行 A列車で行こう」はコメディ映画。監督は、「家族ゲーム」や「それから」、「失楽園」などの森田芳光。本作が遺作となった。 「僕達列車〜」は、監督自身の鉄道趣味を反映したものらしい。脚本も…

○ロマン・ポランスキー監督「おとなのけんか」観た。 ◇「おとなのけんか」は、登場人物が四人の室内劇。元々舞台が原作らしい。テーマ的には家族と個人。森田芳光「家族ゲーム」や黒沢清「トウキョウソナタ」を思い出した。 子供の喧嘩。振り回した棒でくち…

○黒沢清監督「トウキョウソナタ」感想。 ◇黒沢清監督「トウキョウソナタ」。テーマは「嘘」だと思った。「家族」というフィクションと言ってもいいかもしれない。 会社をリストラされた男、佐々木竜平(香川照之)は、妻にそのことを言いそびれる。そして、…

○トム・クルーズ主演「アウトロー」感想。 ◇コレ、観てよかった。万人にオススメする気ないけど、アタリ!俺好みな一本。 ジャック・リーチャーは、元米軍の腕利き捜査官。退役し放浪する一匹狼な男。刑事とかFBIとかそういう正義を遂行する権能ある人でない…

○吉高由里子主演「横道世之介」感想追記。 ◇「横道世之介」は実質吉高由里子主演作の怪作。世之介は、あの頃の与謝野祥子(吉高)のカレシ。というより青春の記憶そのものという体裁。 吉高主演になってしまった原因、それはラストにおけるタクシー後部座席…

○吉高由里子主演「横道世之介」感想。 ◇初っぱな、PePe方向から撮った新宿西口の遠景。ベルリン界隈の天使ならこんな場合アルタのようビルの屋上手すりにすわっているのだろうが、東京の天使はそうではない。ヤツは駅入り口から出現する。鉄道に揺られ長崎か…

◇さいきん観たDVD。 アレクサンダー・ペイン監督「サイドウェイ」 イ・チャンドン監督「シーックレット・サンシャイン」 イ・チャンドン監督「オアシス」 キム・ギドク監督「うつせみ」どれも良かったけど、このなかでも「サイドウェイ」は俺琴線触れまくり…

○平田オリザという事件 ー 想田和弘監督「演劇 I」、「演劇 II」感想。 ◇想田和弘監督「演劇 I」、「演劇 II」を観た。 演出家の平田オリザと彼の主宰する劇団青年団を描いたドキュメンタリーの連作。 「演劇?」は、俳優たちを演出する平田の姿にフォーカス…

○ 西川美和監督「夢売るふたり」感想。 ◇「夢売るふたり」をみた。 市澤貫也(阿部サダヲ)と里子(松たか子)は小料理屋を営む夫婦。店を火事で失い、再起を誓ううふたりの話。 ひょんなことから詐欺ギリギリの再開資金集めに奔走する一澤夫婦。徐々に貯ま…

○クリストファー・ノーラン監督「ダークナイトライジング」感想。 ◇「ダークナイトライジング」観た。マイケル・ケイン演じる執事アルフレッド、今回大分出番が多くて妙だなって思ったんだけど。。。そう来るか!と膝を打った。 前作「ダークナイト」から8…

○ファットマン、一輪車、花火。 大林宣彦監督『この空の花 ―長岡花火物語』感想。 ◇不可思議な映画体験だった。「観た」というより、「映画を浴び」たという感じ。 新潟県長岡の花火は、空襲で死んだ長岡市民に対する鎮魂の祭イベントなのだそうだ。そして、…

○巷で賛否両論の「愛と誠」観た。◇伊集院光というラジオ界の怪物がいる。彼のラジオの熱心なリスナーたちは、彼の活動を二分し、白と黒の伊集院がいるという。 白の伊集院とは、クイズ番組で抜群の正答率を誇り、爆笑問題太田の暴れっぷりを汗びっしょりでな…

○イラン女はつらいよ - アスガル・ファルハーディー監督「別離」感想。 ◇イラン映画「別離」観た。娘の将来を考えると、この国じゃダメ派の嫁とボケた自分を残して海外移住はムリ派の亭主の別居のハナシ。 亭主は実家に戻った嫁の代わりにホームヘルパーを雇…

○映画「モテキ」感想。 ◇ドラマ版「モテキ」みたとき、藤本幸世(森山未來)の心の声のダメぶりに圧倒された。 体温低そうなのルックスに相反し、内面は汗だくな饒舌キャラ。煩悩全開に自分保身を語りまくる身もフタもなさがある種壮快だった。 幸世の心の声…