○イラン女はつらいよ - アスガル・ファルハーディー監督「別離」感想。


イラン映画「別離」観た。娘の将来を考えると、この国じゃダメ派の嫁とボケた自分を残して海外移住はムリ派の亭主の別居のハナシ。
亭主は実家に戻った嫁の代わりにホームヘルパーを雇うことでボケた父親の日々の介護問題の解決をはかる。けど、この別居は一家を待ち構える災難の序の口、予兆に過ぎなかった。
自分の面目に執着する亭主のダメっぷりが超リアル。問題解決能力ゼロのくせに矢鱈プライドが高いという非の打ち所がないバカ。娘の勉強のみてやってる場面があるから、学のある男。けど、兎に角謝ること出来ないタイプ。
この映画のテーマ。たぶん、ボケ老人以上に何も出来ない亭主に振り回されるイランの女の苦悩と苦労。嫁を筆頭に、娘や学校の先生、そして雇われたホームヘルパーまでもが男の面目維持のために身も心もズタズタなっていく。終盤の示談野場面で、ダメ亭主の一言は自爆テロ顔負けの破壊力でたまげた(このタイミングで、そう言えちゃう亭主だから、冒頭の「やっぱ海外移住ムリを切り出したタイミングも推して知るべし)。
いやーイランに生まれた女性はホント大変そう。つーか、あのダメ亭主って暗にイランを指しているんだよね、たぶん。
監督・脚本のアスガル・ファルハーディー、なかなかの才人じゃないか?いろんな賞総なめも頷ける高い完成度。結構重〜いテーマなんだけど、コメディ風味で軽く撮っているのがイイ。「イランの男あるある」的な。イランの女子会で上映なら、テッパンの抱腹絶倒ムービーかも!?