2012-01-01から1年間の記事一覧

○2012年の収穫(順位なし)。 ◇小川剛生著「武士はなぜ歌を詠むか」(角川書店) 室町末期まで、和歌は人心掌握の術であり、外交のチャンネルでもあった。つまり武士は政治活動の一環して和歌を詠んだのだ。 本書は鎌倉から室町末期までを眺め、和歌そのもの…

◇さいきん観たDVD。 アレクサンダー・ペイン監督「サイドウェイ」 イ・チャンドン監督「シーックレット・サンシャイン」 イ・チャンドン監督「オアシス」 キム・ギドク監督「うつせみ」どれも良かったけど、このなかでも「サイドウェイ」は俺琴線触れまくり…

○平田オリザという事件 ー 想田和弘監督「演劇 I」、「演劇 II」感想。 ◇想田和弘監督「演劇 I」、「演劇 II」を観た。 演出家の平田オリザと彼の主宰する劇団青年団を描いたドキュメンタリーの連作。 「演劇?」は、俳優たちを演出する平田の姿にフォーカス…

○ 西川美和監督「夢売るふたり」感想。 ◇「夢売るふたり」をみた。 市澤貫也(阿部サダヲ)と里子(松たか子)は小料理屋を営む夫婦。店を火事で失い、再起を誓ううふたりの話。 ひょんなことから詐欺ギリギリの再開資金集めに奔走する一澤夫婦。徐々に貯ま…

○勝負師のグルーヴ。 ◇タイトルマッチ。ボクシングやプロレスとかのアレ。テレビとかだとベルト争奪戦って言ってる。けど、争奪してるのはベルトじゃない。チャンピオンって位。 チャンピオンが防衛し、挑戦者が奪取するのは目に見えないもの。王座、チャン…

○クリストファー・ノーラン監督「ダークナイトライジング」感想。 ◇「ダークナイトライジング」観た。マイケル・ケイン演じる執事アルフレッド、今回大分出番が多くて妙だなって思ったんだけど。。。そう来るか!と膝を打った。 前作「ダークナイト」から8…

○ファットマン、一輪車、花火。 大林宣彦監督『この空の花 ―長岡花火物語』感想。 ◇不可思議な映画体験だった。「観た」というより、「映画を浴び」たという感じ。 新潟県長岡の花火は、空襲で死んだ長岡市民に対する鎮魂の祭イベントなのだそうだ。そして、…

○巷で賛否両論の「愛と誠」観た。◇伊集院光というラジオ界の怪物がいる。彼のラジオの熱心なリスナーたちは、彼の活動を二分し、白と黒の伊集院がいるという。 白の伊集院とは、クイズ番組で抜群の正答率を誇り、爆笑問題太田の暴れっぷりを汗びっしょりでな…

○武田勝という醍醐味。◇日本ハムファイターズの武田勝は面白い投手だ。3年連続の二桁勝利(2009〜2011)。今期は味方打線がアレで、5勝と勝星はさほどだが、1.87という防御率を誇っている。立派なものだ。 彼の活躍を眺めていると、ピッチャーがボ…

○イラン女はつらいよ - アスガル・ファルハーディー監督「別離」感想。 ◇イラン映画「別離」観た。娘の将来を考えると、この国じゃダメ派の嫁とボケた自分を残して海外移住はムリ派の亭主の別居のハナシ。 亭主は実家に戻った嫁の代わりにホームヘルパーを雇…

○ 内なる投手 - 江夏豊著「エースの資格」感想。 (PHP新書) オレは子供のときのイメージを大切にしている。自分が子供のときってどんな人がカッコよかったのかなって考えているわけですよ。そのカッコよかった人を実践したい。今の大人になった自分で。 上に…

○本郷和人著「謎とき 平清盛」 (文春文庫) ◇本郷さんは日本中世史が専門の東大の先生。「石井進氏、五味文彦氏に師事」と本書略歴にあり、大体のスタンスも分かる。 で、本郷さん今回の松山 ケンイチ主演のNHK大河ドラマ「平清盛」の時代考証にあたってお…

元木泰雄著「河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流」感想。 (中公新書) ◇摂関家の神通力も衰え、院、天皇、摂関家。三つどもえ、あるいは寺院を巻き込んでの四つともえの政治がゲーム化一途をたどり、地方は云うにおよばず洛中の治安まで悪化を招いた平安後期、…

○為義、百年分の不運の巻/元木泰雄著「河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流」読み中。 (中公新書)剛直な政治家師通の急死。それは藤原摂関家においては前途多難の前触れで、白河院とっては吉兆だった。院はこの機会を逃さず、摂関家から政治の主導権を奪い、い…

○義朝の躍進の巻/元木泰雄著「河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流」読み中。 (中公新書) ◇義朝の生涯における最大のターニングポイントといえる出来事、それは仁平三年(1153)3月28日の下野守就任だったらしい。 義朝の破格の出世は、彼の骨折りに対する褒美…

○元木泰雄著「河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流」読み中。 (中公新書) ◇河内源氏の成立(第一章)、東国と奥州の兵乱(第二章)、八幡太郎の光と影(第三章)という按配で朝廷政治のなかでの河内源氏の立場、その盛衰を時系列に綴ったもの。 この三章までは…