○為義、百年分の不運の巻/元木泰雄著「河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流」読み中。
(中公新書)

剛直な政治家師通の急死。それは藤原摂関家においては前途多難の前触れで、白河院とっては吉兆だった。院はこの機会を逃さず、摂関家から政治の主導権を奪い、いわゆる院政に乗り出した。
一方河内源氏は、当時義家とその弟義綱による跡目争いが激化している頃で義家は白河院派、義綱は摂関家に与していた。師通在りしときは義綱がイケイケだったが、彼の死後の白河院政は義家の勝利を意味した。
けれど、後三年の役でミソを付けてしまったためか、義家は家運を引き上げるほどの馬力を発揮できなかった。逆に嫡男義親の不良素行(出雲守代官の殺害!)が一族の信用を台無しにしてしまった。
擦った揉んだのすえ後継に選ばれたのが、義朝の冴えない親父為義だった。四男だった為義。義親がバカ暴れしなければ彼は跡目に選ばれず、関東に下って、悠々自適に暮らしたかもしれない男。
為義、その冴えなさは当人の器にも問題あるが、百年分の不運を丸々背負わされてるような、からっきりのツキのなさは、気の毒すぎて正直笑ってしまう。人柄は申し分なかったと思う。単に人の上に立つとか、人を束ねるということに関して才覚のなかっただけのハナシ。今回の大河では小日向文世が好演している。  


河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流 (中公新書)
河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流 (中公新書)元木 泰雄

中央公論新社 2011-09-22
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