○部屋とワイシャツとサヨナラインフィールドフライ


木鶏。
中国の故事に由来することば。まるで木彫りのごとく超然とした闘鶏の佇まいを指す。また、それより転じ真の強者の喩えとして用いられる。圧倒的な存在感こそ本質であるという、東洋的な強者のあるべき姿が示されている。技能優劣なんて小っちぇ問題ってこと。

木鶏といえば、カープの大瀬良大地投手。彼は、大学時代の師、仲里清氏の書いた「木鶏」の色紙持参で入寮した。昭和の横綱双葉山が勝記録が69でストップした際。「われ、いまだ木鶏たりえず」と知人に打電したことでも知られる。在学中、大瀬良にこのエピソードを教えたという仲里氏、大瀬良を大器とみとめ、彼にもそうした自覚を持つように指導したということだろう。
「意識高い系」って言い回しは、ふつう意識が高いだけで空回りしがちな人を揶揄するもの。けど大瀬良は意識高い系であれ!と叱咤された。つまり素材として無双、申し分ない!という仲里監督の評価したわけだ。

ルーキーイヤーの2014年、10勝8敗。新人王に選出される。最速153キロ。スライダー、カーブ、カット、チェンジアップ、スプリット、ツーシーム?と球種は割と豊富。だからというか、豪速球バンバンという感じはない。かといって精密なコントロールがあるようでも。。。

大器の片鱗素人には見えずらいな、というのが、大瀬良についての俺のざっくり印象。ただ、低い?ってボールでも審判はストライクコールする。なので、球の伸び直だと凄いのかも。

そんな逸材二年目の今期、三回先発して勝ち星ゼロ。未来のエースも、二年目のジンクスな魔の手にハマったか。。。で、5月4日のジャンアンツ戦。サヨナラインフィールドフライという珍妙なふわっとしたオチ。3−2で勝利した。9回2失点の大瀬良投手も今期やっと1勝。

勝利の女神がなかなか微笑まなかった今期の大瀬良、ヘンテコな勝ちを拾った。それでも勝ちは勝ち。というか木鶏な強者オーラが引き寄せたのが、この勝利だったかもしれない。違うか。

サヨナラインフィールイドフライ。奥田民生にこのタイトルで曲作ってほしい。あと、こ重松清さんで小説も書いてほしいな。勝負は土壇場までわからないって感じのわんわん泣けるやつ。サヨナラインフィールドフライ!
まあ、とにかく大瀬良、勝ち運ぜんぜんあるぜ。木鶏の道はまだ長そうだけど1個1個勝っていこうゼ。