○言ってることは真っ当。言い方が不穏! − 押井守著「監督稼業めった斬り―勝つために戦え! 」(徳間文庫カレッジ)感想。

◇映画論でも監督論でもなく、監督稼業論というスタンス。 儲けを出してナンボは前提であっても、それだけでは監督稼業はままなン、というスタンス。押井さんが言いたいこと案外まとも。けど、言い方は物騒。 曰く、宮崎駿は「帰って来れない不幸な人」。 曰…

○沈考あそび − 試行錯誤という癖との付き合い方 ◇人は、日々いろんなことを考える。 昼飯何食べるか、明日の天気、今回の人事異動、Sさんのポジションってどういうこと?とか、相撲秋場所、勢関の調子はどうかとか、濱田岳主演の釣りバカで相方のスーさんが…

○部屋とワイシャツとサヨナラインフィールドフライ 木鶏。 中国の故事に由来することば。まるで木彫りのごとく超然とした闘鶏の佇まいを指す。また、それより転じ真の強者の喩えとして用いられる。圧倒的な存在感こそ本質であるという、東洋的な強者のあるべ…

○メロドラマ展開決着。シーズン3の見所って何か? クローリー家の長女メアリーとマシューの恋のゆくえ、それがシーズン2のメインストーリーだった。結局ふたりは、ふつうにゴールイン。メロドラマの王道の王道をゆく帰結だった。まさかのベタさ加減!ドラ…

「ダウントン・アビー2」第7話

tv

「それぞれの選択」がテーマ。戦争終結のニュース。ダウントンにかつての穏やかな日々が戻ってくる。お屋敷も急ごしらえの病院の任をとき、我が家の感を取り戻す。といっても、戦前と同じでじはない。戦争の傷跡は戦後ダウントンにも深い影を落とす。下僕ウ…

◎2015年の収穫。 1.アゴタ・クリストフ三部作。「悪童日記」、「ふたりの証拠」、「第三の嘘」(ハヤカワ文庫)。 アゴタは下手クソだけど、それが味になっている。いや味っていうか、凄味だな。 長めの感想はこちら。 2.マイケル バー=ゾウハー、ニシム ミ…

◎みずほの勇姿に感涙!ー マイケル・ルイス 著「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」感想。 ◇リーマンショック。俺は全然蚊帳の外だったからあれだけど、モロかぶっちゃった方々は笑えない。資産つーのかな一瞬にして紙くずになるわけで、いろいろ…

◎今どき珍しほどのガチのスパイ組織から見た近代史 − マイケル バー=ゾウハー、ニシム ミシャル 著「モサドファイル」感想。 ◇ポール・バーホーベン監督の「ブラックブック」を思い出した。運命の歯車が狂い、オランダのレジスタンスに味方するユダヤ人女性…

◎「悪童日記」、「ふたりの証拠」、「第三の嘘」。アゴタ三部作感想。 ◇「悪童日記」。双子の男の子のはなし。彼らが祖母にあずけられ、忍者ばりの自主訓練のすえ強靭な精神力と生きる知恵を手にする過程を描いたもの。タイトルの「悪童日記」はふたりが帳面…

○「ダウントン・アビー」シーズン2に夢中。

tv

1910年代の英国の片田舎、時代の波に翻弄される貴族一家、その屋敷を背景に、近代国家に生まれ変わろうとする英国を描こうというのがこのドラマの趣旨だと思う。けどそんな能書きなどなくても普通に楽しめる娯楽作だ。ネットで英国貴族版「渡オニ」と評…

リチャード・リンクレイター監督「6才のボクが、大人になるまで」

◇6才の男の子が大学生になるまでをサラサラと描いたもの。変わっているのは、子役の成長をまんま映画に撮るというアイディア。6才坊やの子役は撮影開始時、リアル6才。その子の18才までの成長過程を映画に活かすという算段。「おしん」を田中裕子に名ト…

○天道信仰と女の子たちのミューズ − 神田千里「島原の乱」(中公新書)感想。 ◇櫻井有吉アブナイ夜会だったか、加藤ミリヤが「誰かのミューズでありたい」という意味のことを喋っていた。 カメラも回すディレクターに「ミューズって何ですか?」と問われ、「…

○日ハム、赤田将吾が任意引退。 ◇赤田引退。ちょっとショック。三十四歳。年齢を考えると、仕方ないかなと思ったりも。 でも、やはり花形めいた西武時代を考えると、この引退は早すぎる。やっぱり。 彼は期待の若獅子だった。内野、守備の要である二塁という…

○弓とオツの交差点。コスチューム・アーティスト・ひびのこづえさんのブログから。 http://kodue1958.exblog.jp/21213912/ カワイイだけでない珍妙なブローチ、イイ。こっちは彼女が渋谷でやったワークショップで生徒の子どもが作ったやつかな? カブトムシ…

○バイク曲芸を披露する球形の檻は目に見えない宿命の暗喩か。−「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」感想。 ◇巡業曲芸のバイク乗り。奴のあまりに無分別な奴の非道が実は父の息子を想う無償の愛に由来するとするというハナシ。父の無償の愛情がテーマ。…

○走りについて。 ◇走っている。土砂降りでない限りほぼ毎日。つまり走りはボクの日課になっている。はやめに夕飯とり、ネットやテレビを見たりした後「さぁ走ろうか」ってウェア着替えて出掛ける。走る前に我流のストレッチ体操をやる。脚と背中を中心に。休…

○柳家は暗いよ。 ◇落語家っていうと「笑点」のイメージが強いかもしれない。日テレの長寿演芸番組。座布団すわって大喜利やっている人たち。たまに一人で「じゅげむ」とか「饅頭こわい」とか喋る職業って感じか。 原色に近い着物っていう印象もあるだろう。…

○トルストイ作品がキーラの美貌と大発明的演出で蘇る! ◇映画「アンナ・カレーニナ」を観た。 ロシアの文豪トルストイ原作の不倫もの。キーラ・ナイトレーが不倫に走り、人生の歯車がぶっ壊れたアンナを妙演。相手役アーロン·テイラー·ジョンソンもイケメン…

○ル・カレ的スパイ小説と腐女子大好物の奇跡的融合 -五條瑛 著「プラチナビーズ」感想。 (ISBN-13: 978-4087473445) ◇見た目以上にひょろっちい男の巻き込まれ系サスペンス!で、なおかつ「あぶない刑事」とか「相棒」的なコンビもの。在日米軍の「会社」と…

○コーエン兄弟監督「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」感想。フォーク版フーテンの寅のフガフガな日々。 ニューヨーク。売れないフォークシンガー、ルーウィンの一週間を描いたもの。金欠。友人宅を転々と泊まり暮らす日々。そんなある日…

○池脇千鶴、菅田将暉、高橋和也、伊佐山ひろ子という手練が演技怪獣として次々と綾野の前に立ちはだかる。− 呉美保監督「そこのみにて輝く」感想。 ◇弟役の菅田将暉の実質主演映画とといってもイイ。菅田くんオファーバンバン来るはず。もちろん池脇さんもオ…

○俺人生のベスト級の一作!人間の皮被ったクズが清々しく愛おしい。− マーティン・スコセッシ監督「ウルフ・オブ・ウォールストリート」

◇株屋なんて顧客のことなんかコレっぽちも考えてないかなね!って偏見に満ちた映画です。 え?偏見は良くない?けど、世の中の株屋さんは、この映画に抗議したりしない。なぜか? 損だから。抗議することでデカプリオに塩を贈りかねないと算盤はじくわけです…

[book] [tv]

○ドラマ版「弱くても勝てます」、思ってたのと違う!嵐の二宮くん主演ドラマで話題沸騰中の「弱くても勝てます」。原作本扱いの同タイトルは、開成高校の野球部を取材したノンフィクション。 開成高校といえば、東大現役合格率トップとか。すごく頭のイイ学…

○運命を狂わせる女が必ずしも美人である必要はないと知った。− アレキサンダー・ペイン監督「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ」感想。 ◇原題は「election(選挙)」。生徒会選挙をめぐる野心全開の女子と教師のはなし。 トレイシーは、のし上がる…

○「BRUTUS」なにしろラジオ好きなのもので。 ◇雑誌ブルータスのラジオ特集号を買った。ハードとしてのラジオでなく、番組としてのラジオにフォーカスしたもの。当たり前か。2009年の3月にラジオ特集を組んだらしい。だから今回は5年振りの「第二弾」。…

○トンビも工夫次第でタカになる! − 東尾修著「ケンカ投法」感想。 ◇絶妙なコントロール、シュートとスライダー、曲がらないカーブ、緩いの二つ投げて3度目はクイックの牽制でランナーを殺す等など。現役時代の投球術、工夫エピソード満載。とにかく転んで…

○走りつづける。作家・村上春樹にとってそれが大事なことだと知った。− 村上春樹著「走ることについて語るときに僕の語ること」感想。 ◇今年6月から週4日ペースで走っている。当初は3キロ。走る姿勢もおぼつかなかったから、犬の散歩にも追い抜かれた。今…

○年の瀬、恒例の今年の収穫報告の季節。暫定一位はコレ!− 小川剛生著「足利義満 公武に君臨した室町将軍」(中公新書) ◇都はひどく困憊し、帝の台所も火の車。宮中行事も滞る始末。 南北朝の抗争がその発端だった。 二条良基は日記を書いていた。事実でな…

○直感の世界。 ◇NHNのプロフェッショナル仕事の流儀のスペシャル版を観た。 以前の放送から正念場で結果を出す達人たちの選りすぐりダイジェスト。将棋の羽生さんの話が良かった。 「若い頃は記憶力とか反射神経とかで指して勝てたけど、歳をとるとそのその…

○高畑勲監督「かぐや姫の物語」感想。 ◇高畑勲「かぐや姫の物語」を観台詞にたよらずリアクションで胸の内に迫る演出。た。芥川龍之介の「羅生門」とか「鼻」のようなアプローチ。あれを漫画アニメーションでやるぞっという野心があふれていた。月に居た頃の…