◇さいきん観たDVD。
アレクサンダー・ペイン監督「サイドウェイ
イ・チャンドン監督「シーックレット・サンシャイン」
イ・チャンドン監督「オアシス」
キム・ギドク監督「うつせみ」

どれも良かったけど、このなかでも「サイドウェイ」は俺琴線触れまくりな一本だった。
サイドウェイ」は、バチュラーパーティを舞台にした中年男ふたりの旅映画。作家志望のマイルスと親友の売れない俳優ジャック、旅プランはマイルスの立案でカリフォルニアのワイナリー巡りというもの。彼はワイン通。
ワイナリー巡り道中、ふたりはマイルスの知人、マヤに出くわす。
「マイルス、あの女、お前に気があるぞ」
とジャックはアタックを勧めるが、二の足を踏むマイルス。むろんマヤに好意はある。けど、彼は未だ別れたカミサンに未練があるのだ。はたして二人の恋の行方はいかに。。。

マイルスとマヤのワイン談義シーンがイイ。素晴らしい。彼の親友ジャックや僕のようなワインを飲むと酔っぱらう水くらいに思ってる門外漢はワイン蘊蓄なんて馬耳ネンブツだけど、マヤの応答に目を見張るマイルス。「結構やりよると思ってたけど、ワイン理解者だと」という感じでマヤにシンパシーを抱く。
オタクとかマニアのどうでもイイ会話のやりとりがこれほどチャーミングで、ロマンチックにキラキラに描かれたのは前代未聞じゃないだろうか。ワインっていうハイソ趣味だからイイのだ。これが鉄道やガンダムカンフー映画みたなボンクラ趣味だと、禁欲感が台無しになっただろう。
結婚に一回失敗した痛手と今度は上手く行くかもという狭間でユラユラする男心というか、意気地なし感が、ワイングラス傾けて能書きたれてるからパッ見「紳士」に見えるわけで、それがワインの威力なんだな思った。ワインであることの必然性ていうかね。ワイン、マイルスっていうキャラにドンピシャだなと唸った。しかも、カルフォルニアワインという絶妙なバランス。心憎い。

サイドウェイ」に負けず劣らず響いたのは「うつせみ」。これは僅差。
「うつせみ」は他人の留守宅に忍び込んで宿代わりにしている男と人妻の話。展開が早く、かつ先がまるで読めない。というか、こんな展開をスムーズに流せる監督の手腕、並でないなと思った。
「シークレットサンシャイン」。このアイディア思いついたとして、ふつう撮ろうと決断するかな?って思った。無謀じゃないかと。まぁ、要するに、奇跡の映画です。これ。