○勝負師のグルーヴ。


◇タイトルマッチ。ボクシングやプロレスとかのアレ。テレビとかだとベルト争奪戦って言ってる。けど、争奪してるのはベルトじゃない。チャンピオンって位。
チャンピオンが防衛し、挑戦者が奪取するのは目に見えないもの。王座、チャンピオンという称号だ。ベルトなんて祠みたいなもん。チャンピオンの称号こそご神体。その争奪戦がタイトルマッチ。そういうこと。
将棋の場合、タイトル戦というのが普通か。将棋界にはメジャーな称号がいくつかある。「名人」、「竜王」、「棋聖」、「王位」など。それらを巡って各々のチャンピオンと挑戦者が将棋をさすその試合がタイトル戦。だいたいそうんな感じ。
「王位」というタイトルがある。先週その王位戦があった。挑戦者は藤井さん。彼は藤井システムというコマのフォーメンションを考案し将棋界の潮目を変えた男。で、防衛する立場、現王位タイトル保持者は、羽生さん。あの寝癖メガネのひと。
職場で昼休み。何気なく新聞ひろげ、ボクは「羽生王位が防衛」の見出し(参照)に目をとめた。記事には棋譜が添えてあった。棋譜とは野球でいうとスコアーにあたるもの。普段そんなことやらないんだけど気晴らしに棋譜みて、羽生さんの先手1六角からのこの対局をアタマのなかで動かしてみた。
気づいたのは、羽生さんの攻めの苛烈さ。手がキビシいとか、えげつないとかでないんだけど、ブ厚さ感じた。なんかギュルンギュルンした感じ。指す一手一手が力漲ってる。一方の藤井さん、悪くない。けどなんか芯がない。バラバラというか、こう、指した手が連動しない感じ。っていうか、羽生さん既に勝負を読み切った感ある指しっぷりなんだよね、見えてる感バリバリ。
まあ、先にボクは羽生さんタイトル防衛って知ってるから、そう感じたのかもしれん。けどね、とにか凄みを感じた。勝負師羽生善治の。棋譜からぐわーぁってグルーヴ感、ビシビシ来るって何だよってね。


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