元木泰雄著「河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流」読み中。
(中公新書)


河内源氏の成立(第一章)、東国と奥州の兵乱(第二章)、八幡太郎の光と影(第三章)という按配で朝廷政治のなかでの河内源氏の立場、その盛衰を時系列に綴ったもの。
この三章までは高校教科書レベルでは馴染みのない名前ばかりで読むのに苦労した。が、四章以降為義、その息子義朝登場あたりで読むスピードが格段上がる。
ビックリしたのは、義朝が無官のまま東国に下ったことをとらえ、廃嫡あったという指摘。Wikipedia先生も同様におっしゃっているのでコレは今日的見解なのか?いやはや勉強不足だな、俺。
そんでもって、著者は、親父である為義が中央政界を泳ぐための戦略的な選択と見ていて、廃嫡イコール義朝の政治生命の終わりではないという立場。むしろ義朝は中央政治の動向を敏感に察知しつつ、東国武士や受領などのあいだで頻発する所領問題を武力および中央威光を存分活用し、調停をつとめたする。そうやって義朝は東国での己の地盤を築いたのだいうワケで、息子、義朝も同様な手管を継承したという見立て。面白い。
この本、元々大河ドラマ平清盛」観るのための副読本として買ったもの。そうした興味で手に取った方は、アタマを端折って四章辺りから読むことをオススメします。
なお、元木先生は、平清盛の闘い 幻の中世国家 (角川ソフィア文庫) って本も出されている。源平を俯瞰で眺めるには、こっちも押さえておくべきか。


河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流 (中公新書)河内源氏 - 頼朝を生んだ武士本流 (中公新書)
元木 泰雄

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