トム・クルーズ主演「アウトロー」感想。


◇コレ、観てよかった。万人にオススメする気ないけど、アタリ!俺好みな一本。
ジャック・リーチャーは、元米軍の腕利き捜査官。退役し放浪する一匹狼な男。刑事とかFBIとかそういう正義を遂行する権能ある人でない。普通の一般人。ぱっと見は。。。
座頭市っぽい。まずそう思った。
ジャックは小男な若作りおじさん。顔がイカツイわけでもないし、ガタイが無茶苦茶いいわけでもない。という点で犯人側や協力者も彼のアウトローっぷりを見くびっている。
これがまさに座頭市が盲目ハンディキャップで軽く見られたり、哀れ扱いをうけたりするのと同じパターン。ボクは座頭市ファン。かなり観てる。不満というわけでもないけど、シリーズ全体的に悪党側が座頭市を殺ることハマっていく過程というか展開がギクシャクしている。
場当たり的に座頭市に襲いかかりイタい目遭う。かなり手強いと悟り、策を練って市に再挑戦。ざっくり言うとこのパターン。
アウトローもこのパターンだった。別に悪いワケじゃない。そういう映画なんだから。けど「アレ?奴ら、なんでジャック・リーチャーにこだわっていたんだ?放っときゃ良かったんじゃないの?」なんて思いが、二三日後ふとよぎったり。そういうトコも込みで座頭市っぽい、「アウトロー」。
まあ、アクション映画の悪党に哲学や美意識など求めるのは野暮かもしれない。けどその辺もうちょっと工夫ほしいと思う。悪党のボス(ベルナー・ヘルツォーク)が気味悪かったけど、あのキャラ付けはボスよりボスの懐刀(ジェイ・コートニー)に付与るべきだった。
実は「アウトロー」ぜんぜん眼中になかった。シネマハスラーでの「アウトロー」評聴いてがぜん観る気湧いた。70年代アメリカアクション映画風情な「面白すぎない」テイスト最高!ドンドン派手展開してい当世アクション映画の真逆を行く感じ。「足し算」志向でない。といっても「引き算」でもない。「足す」あんばいが絶妙ってこと。宇多丸さん、ホントありがとう!
トム版ジャック・リーチャー、座頭市っぽさムンムン。そしてもうひとりに似てるキャラがいると気付いた。
寅さん!渥美清の寅次郎、彼もまたフーテン。放浪癖の人。人情家であるけど行動原理がアレ。世間の常識の圏外の人。
ふつう世間は、地べたに家立てて住んでる。持ち家の金持ちもいれば、店賃で間借りの貧乏人もいる。要するに土地にへばりついて生きてる。フーテンとか流れ者なんてテアイは台風とか竜巻のたぐい。突然現れさんざん引っ掻き回し、また何処かへ去っていく。そんなメンドクサイ奴を「憎めない」と諦めたのが、さくらやタコ社長たち。一見人情喜劇に見えるけど実は不条理劇じゃないか?
かたや、ジャック・リーチャー。奴の正義の鉄槌がどことなくマヌケというかユーモラスなのは、彼が超人的に強いというより、超人的に世間から浮いているためだろう。



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