高畑勲監督「かぐや姫の物語」感想。


高畑勲かぐや姫の物語」を観台詞にたよらずリアクションで胸の内に迫る演出。た。芥川龍之介の「羅生門」とか「鼻」のようなアプローチ。あれを漫画アニメーションでやるぞっという野心があふれていた。

月に居た頃のかぐやは、下界に憧れていた?そういう設定っぽい。
月から地上を眺めてたとき、かぐやは捨丸をひと目惚れしたのかも。

けど、翁はかぐやを授かったことで欲がむくむく。かぐやの幸せを願って都に御殿をつくるが、どうも翁自身の出世欲が見え隠れ。おのれの欲求とおじいの願望。相対するエゴ。当然かぐやは葛藤する。

もちろん「竹取物語」が下敷き。
筋はかなり忠実になぞっている。
高畑さんがやりたかったのは、物語中の出来事に主人公かぐやの心の動きを描くこと。
もちろん、「捨丸お兄ちゃん大好き!」とは分かやすい台詞はない。
表情やリアクションから、登場人物の胸中を描こうという魂胆みたい。
アフレコでなくて、俳優の声を先に録ったようだ。そうしたアプローチも目的から逆算されたものか。

手習いに夢中の様子のかぐやが実は、カエルやウサギの画を描いていたというくだり。鳥獣戯画の模写をしていたというオチ。
かぐやが愛でたのはカエルやウサギでなく、描かれた庶民生活だろう。
でも、あのシーンはそれだけじゃない。あそこは、コノ作品自体、絵巻のアニメを標榜しているゾという高畑さんの宣言だと感じた。