吉高由里子主演「横道世之介」感想追記。


◇「横道世之介」は実質吉高由里子主演作の怪作。世之介は、あの頃の与謝野祥子(吉高)のカレシ。というより青春の記憶そのものという体裁。
吉高主演になってしまった原因、それはラストにおけるタクシー後部座席における顔のアップ。吉高の顔の強さが全部ひっくり返してしまった印象をもった。
吉高の与謝野祥子は、倉持(池松壮亮)や小沢(柄本佑)、阿久津(朝倉あき)、加藤(綾野剛)ら、世之介の周辺にいた人たちのひとりだった。本来監督は、ラストの吉高顔アップで倉持や小沢といった連中も代表させる狙りだったと思う。けど吉高の顔が予想外に強く、倉持らのエピソードは与謝野祥子の青春期にあったいくつかの選択肢、その可能性に降格されてしまった。少なくとボクにはそういう印象をうけた。
(500)日のサマー」は、計算づくでサマー視点をハズしつつサマーを語る体裁なんだけど、世之介は計算外の効果でサマーっぽくなった。この前書いた感想で、与謝野祥子という女性の物語に収斂した、というのはその意味。
とにかく、渾身というわけでもなくサクッと顔演技で主演の刻印を刻む吉高、彼女の大勝利なのは間違いない。


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