リチャード・リンクレイター監督「6才のボクが、大人になるまで」


◇6才の男の子が大学生になるまでをサラサラと描いたもの。変わっているのは、子役の成長をまんま映画に撮るというアイディア。6才坊やの子役は撮影開始時、リアル6才。その子の18才までの成長過程を映画に活かすという算段。「おしん」を田中裕子に名トンタッチせず小林綾子でやるって感じ。違うか。子ども店長が弟に二代目を譲らず、リアルな大人店長になるまで。。。。これも違うね。まぁ、子役の成長過程がまんま映画のなかの子どもの成長過程だってこと。

ものスゴく出来栄えの良い家族ビデオを見てる感じする。8才くらいになると顔からあどけなさが消え「大きくなったなぁ」と素直に思う。小6くらい髪型にこだわる彼にグッとくる。欲しいモノが即物的にクルマって知ると「ああふつうなアメリカの兄ちゃんなったか、ハリーポッターコスプレの頃が可愛かったな」とちょっとガッカリする。親戚のオジサン気分を堪能できる。

大学生になって寮生活ってことで家を出て行くくだりだ。6才があの子、蛇の骨とか尖った石とか集めて、離婚したおやじに見せて自慢していやあの子がもう大学生か!としみじみしてると、オッサンみたいな髪型の母親が思いがけないことをのたまう。親戚のオジサンは気楽よね、って彼女は言ってる風にも聞こえる。

「6才のボクが、大人になるまで」。原題は「Boyhood」って少年時代とか子どもの頃って意味だよね。その成長がサラサラと流れていくのって彼が文字通り子どもで親に守られているからなんだと思った。「Boyhood」って守られてる時間ってこと。子育て期間。あっという間に大きくなった感じする。一人前の口を利く。その見返りっていうか、達成感の小ささに母親はちょっと血迷ったのかも。って、結局母親側に感情移入ちゃうところが俺も歳だってことだね。

あと、6才の子のお姉さん役の子、リンクレイター監督の実の娘さんらしい。イイ味出してる。