池脇千鶴菅田将暉高橋和也伊佐山ひろ子という手練が演技怪獣として次々と綾野の前に立ちはだかる。− 呉美保監督「そこのみにて輝く」感想。


◇弟役の菅田将暉の実質主演映画とといってもイイ。菅田くんオファーバンバン来るはず。もちろん池脇さんもオファー殺到間違いなし。
高橋和也は新しい面見せた。土建屋の社長。その土地では猿山のボスのように君臨してる的な嫌ぁ〜な奴。
伊佐山ひろ子。人生に疲れ、すり減ってしまった感バリバリ。娘、千夏の最悪の将来を予感させる存在。


ボーイミーツガールもの。ある男の話。ある事故きっかけで腑抜け同然になった男、彼の再出発までに軌跡。

女はどえらい貧困のなか。疫病神に見初められたような女。四人家族。親父は寝たきり。母親は父親の看病。弟は傷害事件の前科持ち。保護観察中。母親は貧乏を「血」のせいにしている。もはや貧乏はうちの家業だというアキラメの境地。女はカラダを売って稼ぎ、生計を立てるほかなかった。

ふたりは出会い頭から惹かれあう。出会うべくして出会った「運命」。
パチンコ屋で弟にライターを貸したことがキッカケが、引き寄せた「運命」。
運命vs.運命!!
「血」という逃れないクビキが、男の出現で新たな局面に動き始める。

男は死に場所と定めだ山にもう一度のぼると決意した。今度は生きるために。女にとって、泥沼とは別の顔した運命が彼だった。男は希望だった。断腸の痛みを伴った。

ラストの哀しいのか嬉しいのか判然としない女の顔がステキすぎる。