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○語り直され蘇生する ー 松本人志監督「さや侍」雑感 ◇先日フィンチャーの「ソーシャル•ネットワーク」を再見した。劇場公開時も観た。圧倒的な出来映えに悶絶した。で、DVDリリースのこの機会、見直してみた。当然また悶絶。グーの音もでない完璧さ。 faceb…

○OSを捨てよOSになれ! 入江悠監督「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」感想 ◇「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ 」を観た。場所はポレポレ東中野。 ナン何だコレは!!的縄文土器的な衝動が貫く希有…

○「救わない神」という発明 ー 「シリアスマン」感想 ◇有楽町で映画「シリアスマン」。なんの因果か次々と不幸に見舞われるユダヤ人大学教師のジタバタを描いたコメディ。コーエン兄弟の作品。ドラえもんが登場しないノビ太のハナシという感じ。 ユダヤ人と…

○忠誠から友情へ ー トム・フーパー監督「英国王のスピーチ」感想 *内容に踏み込んで書いてます。ネタバレを望まない方は本作観賞後にお読みください。 1930年代、ファシズムや社会主義の台頭とヨーロッパ情勢は一触即発のキナ臭い空気渦巻く頃の英国王…

○ペキンパーの叔父貴も真っ青! ー 園子温監督「冷たい熱帯魚」感想 「愛のむきだし」で俺界隈で一大センセーションを巻き起こした園子温監督の最新作「冷たい熱帯魚」観た。 三度の飯よりしワイドショーが好きな俺の同僚・御子柴サン(仮名)も往時ビビった…

○俺がCEOだ、コノ野郎っ!! ー デヴィッド・フィンチャー監督「ソーシャル・ネットワーク」感想。 映画「ソーシャル・ネットワーク」は、世界最大のソーシャルネットワークサービス、Facebookの誕生にまつわるハナシ。 賞狙いの作品という下馬評とタイトル…

○マシュー・ヴォーン監督「キック・アス」感想。 「キック・アス」を観た。面白い映画だと思うが、イマイチのれなかった。 「キック・アス」は、マンガや映画のスーパーヒーローに憧れるイケテナイ高校生男子デイブと妻を失い復讐の機会をうかがうマクレディ…

○ロバート・ロドリゲス,イーサン・マニキス監督「マチェーテ」感想 ー 「屈強な漢、ハクい女、悪党一味を一網打尽」の真空パック 中学のとき、ボクは一心不乱に竹刀を振る剣道部員のだった。 給食のない土曜は親から200円貰い、学校向かいの売店でジュー…

○ウニー・ルコント監督「冬の小鳥」感想 - アボジ、反抗、遍在する善意 アボジ(お父さん)と買い物。一張羅の洋服。靴も新調。外食。盆と正月が一緒に来たみたなキラキラの楽しさ。オボジにお酌。「アタシも飲む」と言うとアボジは黙って注いでくれた。楽し…

○キング・オブ暴君の誕生 ー 三池崇史監督「十三人の刺客」感想 明石藩主である松平斉韶(まつだいらなりつぐ)は、極悪非道のバカ殿。がしかし、将軍の腹違いの弟とのことでおぼえめでたく、近々にも幕閣起用が約束されている。 極悪斉韶が幕府中枢入り込む…

○ピーター・ジャクソン監督「ラブリーボーン」感想 映画「ラブリーボーン」は、女の子の自己紹介から始まる切ない話。監督は「ロード・オブ・ザ・リング」三部作の名を馳せたピーター・ジャクソン。 この世に未練あるため成仏(?)でいる14歳の女の子スー…

○ヤン・イクチュン監督・脚本・主演「息もできない」 話題の韓国映画「息もできない」を観た。 朝鮮戦争とは、大国のにらみ合いを背景としたある種の代理抗争で、半島の民族にとっては同朋同士が殺し合うという最悪の事態だった。 家庭内暴力という本作のテ…

○板尾創路監督・主演「板尾創路の脱獄王」感想 ジム・ジャームッシュの作風を彷彿した。 「脱獄」って行為は犯罪だけど、どこか遊戯っぽい匂いがあるよね。それが監督板尾の本作にこめたメッセージだと思った。たぶん、いとも容易く脱獄する割に呆気なく捕ま…

○頭皮はボンクラの勲章也! ー クエンティン・タランティーノ監督「イングロリアス・バスターズ」感想 やっぱタラはオシャレだなぁとつくづく思った。 二次大戦時、アメリカが秘密裏に投入した前線にユダヤ系部隊の「輝かしい」活躍と殺された家族の仇を撃つ…

○ 韓国のオカン、夕日に踊る、 全てを忘れて ー ポン・ジュノ監督 「母なる証明」感想 「母なる証明」。覚悟していたが、矢張り凄い映画だった。 韓国の片田舎の平穏な町、女(キム・ヘジャ)は、漢方薬を売り、細々と生計を立てていた。彼女には気がかりが…

○フジヤマ、ゲイシャ、ロボット 渋谷シアターNは毎週水曜1000円ポッキリ。ということで、井口昇監督「ロボゲイシャ」観た。 殺陣シーンが無茶苦茶かっこいい!作品テイストは、低予算予算でちゃちいンだけど、そのチープさを補ってあまりある井口イズム噴射…

○試写会 - 松本人志監督・主演「しんぼる」雑感 職場の同僚に連れられて松本人志監督「しんぼる」の試写会行ってきました。 場所は丸の内ピカデリー。客層は予想以上に若い感じ。女子率も高し。「人志松本のすべらない話」世代の「新規の松ちゃんファン」と…

○すべらない映画、「ディア・ドクター」 ・eiga.com 2009年7月10日,「エンジンF他「ディア・ドクター」、好スタート」 http://eiga.com/buzz/20090710/12 9大都市16館の2日間における座席占有率は68.8%と高稼働している。特に、主演の笑福亭鶴瓶の地元関西…

○鶴瓶は「つるべえ」じゃなくて、「つるべ」 - 西川美和監督「ディア・ドクター」感想 ニセ医者のハナシ。 家事の片手間に鳥飼かづ子(八千草薫)が聴いているという設定で、落語のカセットテープが小道具として使われている。ひょっとすると、「ディア・ド…

○入江悠監督「SRサイタマノラッパー」、ジワジワくるおもしろさ。オススメ!けど、東京凱旋上映は本日26日(金曜)まで。 昨日、レイトショーで入江悠監督「SRサイタマノラッパー」で観てきた。 ヒップホップが大好きな埼玉の若者が、紆余曲関の末、本当の自…

○三木聡監督「転々」 オダギリジョー、三浦友和の共演の「東京お散歩ムービー」。 「へちゃっ」感満載の佳作。もう、「へちゃっ」としてるとしか言いようがない。 この映画の魅力はフガフガ会話。絶妙なフガフガな会話のリズムが、石井輝男も相米慎二も大島…

○浅野忠信主演「鈍獣」感想 宮藤官九郎脚本のお芝居「鈍獣」の映画化。 映画ってのは、誰が言い出しっぺかでほぼ決まるなぁと痛感させらた一本だった。 たぶんこれって、過去にやらかした取り返しのつかない出来事に、二十年越しで復讐されるハナシ。で、ク…

ダニー・ボイル監督「スラムドッグ$ミリオネア」感想 無一文から伸し上がるには、当然体や頭が資本。 本作の社会の下層からドンドン伸し上がって行くって様は、百姓のせがれから太閤にまで上り詰めた秀吉の立身出世譚にも似て痛快でたのしい。よくよく考え…

○クリント・イーストウッド監督「グラン・トリノ」感想 *注意:以下の感想は映画の筋にふれた箇所があるので、未見の方は本作を観賞後、お読み頂くことをオススメします。 作中ひんぱんにコワルスキー(イーストウッド)の芝刈り作業シーンが差し込まれます…

○映画「鴨川ホルモー」 感想 異界としてのキャンパスライフ ワーナーマイカル板橋、毎月25日は映画千円らしい。ってことで、主演の山田孝之目当てで本木克英監督「鴨川ホルモー」を観た。 なんでこの日が千円でみられるのか?それは関東の守り神である平将…

○「ウォッチメン」感想 正義の味方大活躍の痛快アクションを期待すると猛烈に裏切られます。 「ウォッチメン」は、むしろヒーロー物の正義に痛烈なツッコミを入れたものです。それはコミックやアニメの正義のヒーローを標的にするような、学校にいかないニー…

○園子温「愛のむきだし」感想 園子温監督「愛のむきだし」観てきた。場所は新宿K'sシネマ。 満席。上映が一日、6時30分の一回だけのせいもあろうが、「良い」とのウワサを聞きつけたサブカル風情の若者が集合したような空気が立ちこめていた。主演の西島…

○ジョニー・トー監督「ザ・ミッション 非情の掟」感想 「エグザイル/絆」は良い。大変良い映画。俺の人生観たなかでも五本の指にランクインするくらい良い。サイコーな出来。で、他のジョニー・トー作品も観たいと思いツタヤで「ザ・ミッション 非情の掟」を…

○ジョニー・トー監督「エグザイル/絆」感想 三国志。中国の史実にもとづいた、己の運命を切り開くように闘った男たちの叙事詩。ぼくはそれを、ある種の組織論として捉えている。 曹操はボスと部下の上下関係を基盤に国をつくった。これに対して劉備は同士を…

○熊切和嘉監督「青春☆金属バット」感想 (ビクターエンターテインメント ASIN:B000M06TYY) 青春をこじらしてしまった大人のはなし。 元高校野球球児(補欠)の難馬(竹内ピストル)は、「監督、俺納得いくまでバット振ってきます」と言ったとき以来10年の…