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○三木聡監督「転々」

オダギリジョー、三浦友和の共演の「東京お散歩ムービー」。
「へちゃっ」感満載の佳作。もう、「へちゃっ」としてるとしか言いようがない。
この映画の魅力はフガフガ会話。絶妙なフガフガな会話のリズムが、石井輝男も相米慎二も大島渚も達し得なかった、「へちゃっ」の境地を切り拓いた。あっ、「ダージリン急行」のウェス・アンダーソンは似てるのか。
大学は八年生の竹村（オダギリ）は、無計画でズボラなためか、慢性的に金欠にあえでいた。ある日借金とりの福原（三浦）が返済の督促にやってくる。返すアテのない竹村。福原はそんな竹村に条件付きで借金チャラの提案をする。
俺の散歩につきあえ。そしたら１００万やるぞ。
竹村は美味すぎるハナシを気味悪く思いながらも、福原の条件を承諾する。

借金返済のためによく知らないオッサンの散歩に付き合うという竹村の選択は、これまでの彼の人生を如実に物語っている。そして、この散歩随行は、ごく平凡な男がひょんなことから大事件に巻き込まれる式ヒッチコック・サスペンスの予兆のようにみえる。
けれど冒頭にもふれたフガフガの会話は、サスペンスの風味を封じ込め、男ふたりの「東京お散歩ムービー」を擬態することに成功している。
なぜこの擬態が成功かというと、ごく平凡な男が事件に巻き込まれ式のサスペンスというのは、ウラを返せば不条理コントなのだ。三木の魂胆は、フガフガ会話を導入することで、「東京お散歩ムービー」と錯覚させつつ不条理コントをそれとなく客に披露することなのだ。いや〜三浦友和イイ俳優だなぁ。あとヨシズミ！石原良純のキャスティングが抜群だね。ヨシズミ以外もはや浮かばないもの。
結構まえダウンタウンの「ガキの使い」で、番組収録後の帰宅する松ちゃんを浜田やココリコたちが尾行するドキュメントもどきのコントがあった。
途中パン買ってたべたりで道草食いの松ちゃんは小汚いアパートの二階に住んでいたな。で、年上の嫁はんがいる！
オカシかったねぇ。手ェたたいて笑った。本当ケッサクだったな。アレも三木さん、だったかな？
「転々」は、原作があって藤田宜永の同タイトルの小説。読んでないけどたぶん全然ちがうんじゃないかな？藤田さん、映画版どういう感想もったか知りたい。

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