ジョニー・トー監督「エグザイル/絆」感想


三国志。中国の史実にもとづいた、己の運命を切り開くように闘った男たちの叙事詩。ぼくはそれを、ある種の組織論として捉えている。
曹操はボスと部下の上下関係を基盤に国をつくった。これに対して劉備は同士を基盤とした。呉の孫策周瑜との友情を礎に天下をのぞんだ
結果は会社組織を標榜した曹操が覇権を奪った。組織が大きくなるためには、やはり絶対的なリーダーとその手足となる部下からなる、トップダウンな関係が必要なのかもしれない。
曹操は成功者だ。けれど、ぼくは曹操にはこれっぽちも憧れない。曹操は孤独だ。そう、彼には友人がいない。
ジョニー・トーの「エグザイル/絆」を観た。これはまさに友をテーマにした映画だった。
おっかないボスの命令よりも友情を選んだ男たち。
大金持ちになってやり直せるかもしれない。そんな夢よりも友を選んだ男たち。
てゆーか、奴らは節目節目でいつも友をのせた皿を選んできたのだ。もう片側の皿にどんな財宝や名誉が載っていようとも。
掟さえも奴らは無視した。だから、当然行き場がない。
いや、帰る場所こそが友がいるとことなのだ。
超バカ。お前らなんか野垂れ死ね。全然曹操じゃない。だからサイコー。


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