■
◇先日フィンチャーの「ソーシャル•ネットワーク」を再見した。劇場公開時も観た。圧倒的な出来映えに悶絶した。で、DVDリリースのこの機会、見直してみた。当然また悶絶。グーの音もでない完璧さ。
facebookの生みの親で最年少の億万長者マーク•ザッカーバーグ。フィンチャーは、マークを突き放して描くことで今どきの起業とか友情と恋とか大学とか野心とか挫折などをクールに語ってみせた。
ようするに「成功者の孤独」という手垢まみれのテーマが、フィンチャーによって蘇生したということ。時代おくれで誰も見向きもしないテーマを旬なIT長者の成功譚と掛け合わし、語り直す作業、それはフィンチャーが映画に向き合う姿勢でもあるんじゃないかとふと思った。
「映画の可能性ってまだまだあるんだぜ」ってフィンチャーのドヤ顔メッセージを、ボクはとにかく受け取った。受け取ってしまったというべきか。ま、今観るべき監督の一人ってこと。中でも本作が完成度高いと思う。未見の方は是非。
というわけで、フィンチャーすげぇなと再確認した翌日、ボクは「さや侍」を見に行った。感想を先に云うと、「不細工だけど好き」という感じ。まぁ偏愛だ。
実際ネットで観たひとの感想を拾い読みすると、これまでの二作に比べると肯定的な感想案外ある。けどまぁそうは言っても万人ウケする娯楽作品ではない。
正直云うと映画予告をみたとき、ちょっと不安がよぎった。殿様のまえで一発芸的お笑いを30日間披露するという設定は、果たして映画というスタイルの語りに相応しいものか?と危惧した。
で、実際野見さんの見せる一発芸の数々は、殿様以上にスクリーンのこちらで観ているボクをヒヤヒヤさせた。けど反芻的に今振り返ってみると、あのヒヤヒヤ、あの寒さは必然だったのではないか思う。別の言い方をすれば、一発芸の刑部分の寒さを意図的な演出と取るかどうかで「さや侍」評価はパックリ分かれるのだと思う。
今ボクは「意図的な演出」と書いた。けど、あれが本当に意図したものか確信が持てない。映画としての不細工さが、そこかしこに炸裂しているため、意図なのか意図でないのかの区別が付かないというのは、欠点と云えば欠点でもあると思うから。けど、野見勘十郎の駄目な男加減。さやだけ腰に下げ武士という名刺にしがみついてる存在の結局のトコロの不発さを描くという場合、ドカーンと爆笑的な演出は逆効果だろう。
だから、あれは意図的寒さなのだとボクは了解する。「不細工だけど好き」とはそういうことだ。
父から娘へ〜さや侍の手紙〜 | |
竹原ピストル よしもとアール・アンド・シー 2011-07-06 売り上げランキング : 233 Amazonで詳しく見るby G-Tools 関連商品 SKIP ON THE POEM BOY(ボーイ) オールドルーキー 松本人志 仕事の流儀(ヨシモトブックス) 野見隆明のスーパースターになる方法 [DVD] |