○マシュー・ヴォーン監督「キック・アス」感想。


キック・アス」を観た。面白い映画だと思うが、イマイチのれなかった。
キック・アス」は、マンガや映画のスーパーヒーローに憧れるイケテナイ高校生男子デイブと妻を失い復讐の機会をうかがうマクレディ父娘のハナシ。
デイヴと父娘の接点、それはヒーローのコスプレ。けれどお互いがその装束に込めた意味は全く違う。街のチンピラの悪行を見て見ぬふりするこれまでの自分からの変身。で、一方の親子は復讐の隠れ蓑というあんばい。
悪いギャングに立ち向かうという目的は一緒。けど動機が違う。デイヴの場合は公憤だが、父娘陣営は怨恨、私憤だ。
で、いろいろあった結局私憤で闘うという着地。。。。うーん、この展開がどうも合点がゆかない。スーパーヒーローとしての能力という意味では間違うなく父娘陣営はキックアスより断然上。けどそれだけで資質的に彼らがヒーローにふさわしいとはならない。なぜなら、ヒーローの拳は正義の制裁でなくてはならないのだから。
つまりボクはキックアスの公憤に集約されていくべきだと思う。でないと、ボスの命(タマ)狙う狂気親子にキックアスが加担するハナシになってしまう。それが痛快感を削いでる要因だと思う。
けど監督は、復讐、私憤への集約を採った。キックアスに暴力装置としての自覚を促すたってことかな。うむー。
素材を十分活かす料理として、果たして「キックアス」はこれが正解なんだろうか。特上のイベリコ豚の生姜焼きになってないか。
三池崇史ならどうしたか?ポン・ジュノなら?ギレルモ・デル・トロなら?...
キック・アス」。アイディアそのモノがもつ可能性を考えたくなる一作だった。
あ、余談だけどミンディ・マクレディ役のクロエ・グレース・モレッツは、ディズニー犬映画のボルトに顔が似てる。