○俺がCEOだ、コノ野郎っ!! ー デヴィッド・フィンチャー監督「ソーシャル・ネットワーク」感想。


映画「ソーシャル・ネットワーク」は、世界最大のソーシャルネットワークサービス、Facebookの誕生にまつわるハナシ。
賞狙いの作品という下馬評とタイトルから、友人を見つけるサービスの提供者が友人を失い独りぼっちでしょぼ〜んってハナシだろうと思っていたがそうでなくて、女に振られた男がナニ糞こん畜生と一念発起しドえらいサービスを作ってしまった、というアメリカ法螺話風の成功譚だった。
「イイ友達でいましょう」
とエリカに交際のご破算を突付けられたマーク。結局彼が起こしたFacebookはエリカの気の惹くための、自尊心を保ったまま(謝らずに)ヨリを戻すために書かれたプログラムだったのだ。
逆に言えば、マークにはベンチャー企業家的な野心はサラサラなかった。俺を振ったエリカをもう一度振り向かせたい。。。その点でマークはウブな青年だったのかも知れない。
「エリカとヨリを戻したい」という強い想い。けどそのアプローチはちょっと調子っ外れで、物騒なものだった。Facebookを破竹の勢いで拡大させるマーク。泣いて馬謖をでなく、泣かずにCFOの友を切り、ベンチャー起業指南役の師を切る。
イケイケドンドンのFacebookは、ついにボート部双子の属するエスタブリッシュな土俵を浸食する。
「なんで連中は自分たちのアイディアを具現化できないで、俺がパクったとかゴチャゴチャ抜かしているだ!そんなゴタク聞く耳もたんね」
という具合にマークが示談交渉テーブルで啖呵をきるシーンは実際カッコいい。
閃いたのなら、速攻コード書いて、サーバー借りてサイト立ち上げサービスとして体裁を整えなくっちゃ、誰もそのアイディアに評価できないし投資もできなやしない。そりゃアイディアを思いつく奴はウン百人、ウン万人っているだろうけど、「思い付いた」というだけで権利を主張できるワケないでしょ!というのがマークの立場だ。
双子は大学サーバーのパンク騒動で「使える奴」としてマークに目をつけた。けど一躍投資対象の有望株となったFacebookで潮目が完全変わった。双子は土俵の真ん中にいたはずが、いつの間にか徳俵に足がのっていた。双子は使おうと思ったマークにまんまと使われるカタチになってしまった。
だからサベリンの、双子側人脈に入りたくて仕方ない躍起な姿は滑稽じみて見える。一方「金の成る木」としてFacebookが認知されるにつれアメリカのエスタブリッシュ階層もFacebookとマークに目をむける。マークの手際は実にクールだ。
この映画はマーク側とマークを訴えようとする側の示談交渉のテーブルから物語が立ち上るという形式を採っていて、弁護士たちは当事者たちの回想を呼び起こす媒介なんだけれど、同時にFacebookを中心とした生態系(ソーシャルネットワーク)の一部でもある。オモシロイ!


フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
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