yasulog2009-05-31

外市、犬とか妖怪とか


30日(土曜)は、外市へ出向いた。場所は池袋の古本屋往来座外市は、同店まわりにプロ・アマ混合の古本同志が本棚や段ボールに本を並べ売るイベント。天候不順のせいか、いつもより小振りな感じ。研屋のアニキもいなかった。

買った本は以下のとおり。

林丈二「犬はどこ?」
講談社 ISBN:9784062736947


◇マーク・ストランド/村上春樹訳「犬の人生」
(中央公論新社 ISBN:9784124035155)


小松和彦「日本妖怪異聞録」
小学館 ISBN:9784094600735


ん?林丈二「犬はどこ?」って品切れしてんのか(参照)。いやーツイてるね、外市ありがとう。

メトロポリタン内のHMVに寄りオーネット・コールマン・トリオの「At the "Golden Circle" in Stockholm, Vol. 1」購入。
帰宅後早速聴いてみると、肚に力がないサックスに度肝を抜かれる。なっ、なんだ?このひょろひょろした音色は!
ひえ〜まったく意図が分からない。これってセッション成り立ってるの?
そーいえば、菊地・大谷の「東京大学アルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編 」で貧乏なオーネットのサックスは、胴体部分がプラスチックだったいう逸話が紹介されてたが、このアルバムのチャルメラみたなサックスもそうなのかな?



At the "Golden Circle" in Stockholm, Vol. 1
At the Ornette Coleman

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At the "Golden Circle" in Stockholm, Vol. 2
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東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編 (文春文庫)
東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編 (文春文庫)菊地 成孔

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憂鬱と官能を教えた学校
花と水
M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究

○解説の川崎憲次郎、肥え過ぎ


テレ東のスポーツ・ダイジェスト番組「neo sports」を見る。気になるゲームはセパ交流戦、西武対読売。
先発は西武・岸、読売は東野。
巨人サイドは、完全岸のカーブに的を絞った攻撃っぷり。西武バッテーリーはそんな相手打線の狙いを逆手にドシドシ直球でおしまくるという見応えのある攻防。
要所要所をしめてきた岸だったが、七回表、ラミレスにタイムリーを打たれ、2−1になったところで降板。味方打線の援護にも恵まれずちと不運。しかし試合はこのアトもつれ、10回裏、制球に苦しむクルーンから西武・大崎、値千金のセンター前のサヨナラ打。結果3−2で西武の勝利。というわけで、岸にも負けは付かず(やっぱツイてる?)。
キャッチャーが銀二郎だった。岸を活かす配球って意味では細川に見劣りする。正捕手のケガは本当イタい。
あと、西武の抑え小野寺って、近鉄のころの岩隈みたなフォームだね、左だけど。

あっ、そうそう。このヤスlog、最近「岸 カーブ」や「岸 カーブの握り」とかのキーワードで飛んでいらっしゃる方がけっこういるんで、補足的にYouTube「変化球の投げ方 カーブ編」を貼っておこう。ここで西崎が言ってる手首を使わない抜くカーブ、それが岸カーブの投げ方。
ついでに以前紹介したノムさんの08年日本シリーズ解説も念のため添付しておく。途中、ミスター月見草が岸カーブに言及するくだりがあるからね。
まあ、投球ってのはコンビネーションだから、カーブだけスゴくても抑えることは出来ない。今日の岸を見ても分かるように、イキのいいストレートがあるからカーブも活きし、逆にふわっとしたカーブがあるから、ストレートで三振とれたりするんだってこと、そこんとこ、未来のエース諸君はキモに銘じてほしいな。


・変化球の投げ方 カーブ編



・2008日本シリーズ西武vs巨人 野村監督が6・7戦を解説

浅野忠信主演「鈍獣」感想


宮藤官九郎脚本のお芝居「鈍獣」の映画化。
映画ってのは、誰が言い出しっぺかでほぼ決まるなぁと痛感させらた一本だった。
たぶんこれって、過去にやらかした取り返しのつかない出来事に、二十年越しで復讐されるハナシ。で、クドカン脚本はそれをオーソドックスなホラーとして描くではなく、ファンタジックな狂気として語ろうという寸法。
とある文学賞にノミネートされた有望作家、凸川(浅野忠信)が突然失踪した。担当編集者の静(真木よう子)は彼の消息を追い、一路生まれ故郷の地へ向かう。手がかりはホストクラブの名刺。
ホスト(北村一輝)、店のママ(南野陽子)、常連のお巡り(ユースケ・サンタマリア)、ホステス(佐津川愛美)。静は、彼らにデコ川の消息をガシガシ詰問する。やがて彼らが語り始めるたのは、凸川という男の、壮絶かつ伝説的な鈍さエピソードの数々だった。

良くも悪くもクドカン脚本がこの映画の個性になっている。
浅野忠信真木よう子北村一輝といた役者陣の突き抜けた演技っぷりは、「馬鹿」の一語につきる。特に主演の浅野忠信はハマり役だった。凸川の誰なんだお前!なテイストは浅野のニコニコ顔がドンピシャ。そして他の演者も彼に共鳴するように、はち切れんばかりに役者魂を噴射した。
圧力なべのフタが吹っ飛んだ的な役者陣の大奮発はとにかく素晴らしい。にもかかわらずこの作品、映画としての輝きは電池並列つなぎ豆電球なみで、エンディングに向けてのぶわぁーっとくるような高揚感もからっきしだった。舞台版ならココは大爆笑だろうなって箇所が幾つかあった。それが不発、ほぼ全滅だった。
ハナシの構造上、出来事は回想的に語られるわけだが、回想シーンってのは舞台ならナマの役者が演ずるから凸川の空戦絶後の鈍さが際立つが、映画の場合だと、肉体的なアドバンテージはなく、流石の浅野クンも凸川の鈍さは効果的に伝えきれてなかったっぽい。
うーん、クドカン脚本にこだわるなら、やっぱ普通にホラー畑の監督に自己パロディー的に作らせるべきだったと俺は思う。
冒頭でもふれたが、この映画は子供時代の取り返しのつかない大失態に復讐されるハナシ。クドカン脚本の面目は、その恐怖を切迫感でなく、ド田舎のスナックで毎夜再現される、ユルユルな停滞感と解釈したことだろう(現代人はある種の緊張を渇望してる?)。ただ、それは舞台向きなテーマであっても、映画的ではなかった。なんて言うか、押井守で十分間に合ってマスよってあんばいで。
ま、浅野マニアや北村一輝好きや佐津川愛美ファンは是非見るべきでしょ(これホント!!)でもさ、もとの舞台版やクドカンファン連中はブチ切れ怒り大爆発じゃないのか?。
まさか君ら、お芝居がうけたからって安易に映画化したんじゃあるまいな!って怒気ふくみつつ疑心暗鬼になるくらい製作サイドの鈍獣ぶりがそら恐くなる一本でした。