○トンデモ史観にも五分の魂 ー 岡崎勝世「聖書vs世界史」(講談社現代新書 ISBN:9784061493216


岡崎勝世「聖書vs世界史」読み中。
聖書に書かれていることはホンマことや!という前提で西欧の歴史は編まれてきたというハナシ。神話も寓話も事実もごちゃ混ぜに年表がいつから、何キッカケで今のような世界史になったのか。つまり、この本は聖書的著述から分離し、世界史が誕生したそのイキサツを解説したもの。
世界史誕生のキッカケ。それは日本に伝導に来たイエズス会だった。連中は、ニッポンで中国のウワサを耳にし、「よし中国でも伝導しるぞ!」と彼の地に乗り込んだ。がしかし、伝導隊、布教活動のため情報収集を開始すると衝撃の事実にブチあたった。
「アレっ?この国の歴史、俺らの本に書いてるあるより長くね?」
かくして、俺らの聖書にあるノアの洪水になんら影響されず連綿と歴史を続いてきた文明が東にあるんだよってニュースは、西欧各地を駆け巡った。
面白いのはこのニュースに対する受け止め方で、岡崎は往時の3つの典型を紹介している。
1、ガン無視。
2、降参(ノアの洪水を局所的出来事と認定)。
3、こじつけ(聖書にある出来事を中国史に無理矢理あてはめる)。

3の態度は完全トンデモ史観の脳みそだな。そもそも中国見つけたってのも航海術が発達し、そんじゃ海の向こうに布教にいくべって結果だったわけだし、実に皮肉なハナシだよね。伝導団の困惑気などんより顔が手に取るように思浮かぶつーかさ。
というコト考えると、くだんの中国史に聖書的事項を強引に当てはめようって悪あがきも往時聖書を拠り所をしていた連中にしてみたら、無理からぬリアクションだったのかも。


聖書VS.世界史 (講談社現代新書)
聖書VS.世界史 (講談社現代新書)岡崎 勝世

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