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○ドラマ版「弱くても勝てます」、思ってたのと違う!

嵐の二宮くん主演ドラマで話題沸騰中の「弱くても勝てます」。原作本扱いの同タイトルは、開成高校の野球部を取材したノンフィクション。
開成高校といえば、東大現役合格率トップとか。すごく頭のイイ学校のイメージ。野球部は案の定弱い。
監督さんは理論派。0点では勝てない。だから彼は打ち勝つ野球を標榜している。
「打ち勝つ野球」。
九州学院日大三高など、甲子園常連の強豪校にもそうしたスタイルを採る学校もある。けれど開成高校野球部の打ち勝つはそんじょそこらの「打ち勝つ」じゃない。
コールド勝ち狙いを打ち勝つべき!と監督は考えている。。。。
部員も勉強が本分。部活は添えもの。練習時間がないに等しい。上達するほど守備練習に時間がさけないし、
打ち勝つ野球を目指すのだから、練習は打撃中心。で、守備がボロボロなのでコールド勝ちを狙うと。
分かったような分からない策謀。
彼らは練習量を増やそとは考えない。現状の環境(少ない練習時間)のまま、勝つための方策をひねり出している。開成高校野球部の奇妙さは、監督も部員も野球が結局添え物であると認めているところ。
無理にひねり出した答えが、コールド勝ち狙いの「打ち勝つ」野球。

理屈的には間違ってない。いわゆる机上の空論ってやつだ。空論は美しい。空論ゆえの輝きがあると云うと皮肉に聞こえるか?

原作だと著者の高橋さんも部を取材しているうちに、「打ち勝つ」野球の理屈にのヤラレてしまう。いや選手たちに情がわいたせいで、奇天烈戦法にほんのり期待した、という塩梅かもしれん。原作の面白さは、「打ち勝つ」理論というボケにツッコミがはいらないところ。監督も選手もOBも取材する高橋さんも誰もが「確立はゼロじゃない」に期待している。

ドラマ版の初回を観た。残念だった。二宮くん演じる監督が奇天烈策士な監督に見えない。そういう演出じゃなっかた。
最近の流行のドラマってアクの強い変人がやらかして、周囲が右往左往するってのがテッパンのはず。半沢にせよ、相棒にせよ、ガリレオにせよ、その構造。
だからこのドラマも、二宮くんの監督さんが名軍師気取りの野球狂として描かれ、選手や取材記者がてんてこ舞の展開を予想していた。けど全然ちがった!「テニプリ木更津キャッツアイを足しました」って感じ。
取材記者がどんどん奇天烈策士な監督の理屈にハマっていくっていう筋は、別にテニプリ要素の邪魔にならないと思うけどなぁ。何故そこはテッパン要素足さなかったのか。
ドラマの最終話は、たぶん生徒たちも野球を通して成長して、そんな連中を見てるうちに二宮くんの監督も人間的に成長しちゃうんだろうね。あー。本郷奏多くん出てるけどドラマはもう見ません。



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