○走りつづける。作家・村上春樹にとってそれが大事なことだと知った。− 村上春樹著「走ることについて語るときに僕の語ること」感想。


◇今年6月から週4日ペースで走っている。当初は3キロ。走る姿勢もおぼつかなかったから、犬の散歩にも追い抜かれた。今は1日4キロ。1キロあたり6分きるペース。速くはない。けど、もう犬さんぽには抜かれない。


走るようになったきっかけは、ナイキの走り支援アプリ。ジョギング仕様の万歩計のようなもの。クラウド的に走った距離、ペースを記録し成果を眺めること出来る。元西武の清原や安田美沙子、道端ジェシカに褒めてもらえる声援機能もある。
キリンジの存在も大きい。彼ら兄弟の洗練ミュージックが仕事終の走りを夜のドライブみたいにキラキラさせた。功績大。


あと、村上春樹。文庫本の「走ることについて語るときに僕の語ること」。
刺激されたというより、この本のことがひっかかっているという感じ。村上春樹流走り哲学のおもむき。彼なりの走りに対する姿勢が表明されたもの。走るってことが「推敲」の比喩っぽくもある。けどそれだけではない。小説を書くための体力維持、そのために走っているフシもある。


健全な身体に健全な精神がやどる。
むかし、笹川ボートレース会長がそんなお説教をCMで垂れてた。春樹流はそんなニュアンスじゃない。お坊さんの読経とか座禅に近いかんじ。意識的(大会に向けて逆算してメニューを組んだり、筋トレしたり)でもあるし、日課としてこなしているようでもある。


自分を律するストイックさ、クールな感じする。その辺は惹かれた。けどぜんぜん楽しそうじゃない。後半にゆくにつれ痛々しさが増してくる。というか読んでて怖い。
村上さん、なんで走ってるんだ?体力維持って、逆に命けずってない?って思えてくる。
50過ぎのおっさんがトライアスロンに挑戦する意図が分からない。怖いのは、そのモチベーションの分からなさ。


読んだけど直接的な走り始めたきっかけというわけじゃない。人並みに走れるようになった今でも村上さんのトライアスロン志向は分からない。けど、そっちに惹かれる自分もいたりする。



走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)村上 春樹

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