○投低打高の時代。


◇飛ばないとされる統一球も結局は打てるようになる、とノムさんがその著書「野村の見立て」に書いていた。
理由は、ピッチングマシーンの普及。アレでどんどん練習していけば、プロで飯食ってる連中なら打てるようになるのも時間の問題ということらしい。
たしかにピッチングマシーンの効果は絶大だ。その威力は高校野球界隈でも猛威をふるっている。北海道や東北勢といった以前練習環境的に不利とされた雪国の躍進は打撃レベルの向上だ。その背景にはおそらくピッチングマシーンの導入があると思う。
プロアマ含め守備と攻撃どっちが好きかと訊いた場合、十中八九打つ方に軍配があがるだろう。バッターボックスには自分だけ。連携プレーもないし、どんどんタイミングがあって打てるようになるのが体感できるはずだから。
つまりピッチングマシーンの導入は、打撃練習のゲーム化に拍車をかけたと思う。そもそも好きな打撃練習で機械相手に気兼ねなく打ち込めるという環境が整ったわけだ。
それが投低打高というトレンドの源だと思う。そもそも日大三高のバカみたい打ち勝つスタイルは、ピッチングマシーンありきのものだろう。機械相手にいくらでも打撃練習は出来る。が、投球練習はそうはいかない。投げ込みすぎて肩がぶっ壊れたら元も子もない。
ノムさんが云うように統一球もピッチングマシーン打撃練習で攻略されるのも時間の問題かもしれない。投低打高とはそういうことだ。逆にいえば、投手はピッチングマシーン的な投げ方では確実打たれるということだ。
阪神の能見投手。今シーズン11勝9敗。フォームも綺麗だし、結構なイケメンでサウスポーにありがちなフワフワ感も微塵もない逸材だと思う。けど如何せん「いち、にの、さん」のタイミングで投げてる気がする。むろん自分のリズムで投げるとそうなるのかもしれんが、今のままではピッチングマシーン世代のバッターたちは手ぐすねひいてイヒヒって感じゃないだろうか。
9敗を勝ち星に転換するには、ピッチングマシーン練習では対応できない何か探す必要があるはず。それがフォーム的に修正すべきか(西武の帆足みたいな?)、それとも曲がりの小さい変化球を覚え打ち損じを狙うべきか、パッ見のボクには判断できない。ただボクが云えるのは、投低打高という流れは、イケメン本格派左腕がイケメンらしく投げづらい時代だということだ。


野村の見立て わたしが見抜いた意外な長所・短所
野村の見立て わたしが見抜いた意外な長所・短所野村 克也

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