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○陸軍の、石原莞爾でない方。
◇近所の書店で野球小僧を購入。レジ前の「波」貰う。「波」は新潮社のPR誌だが、新刊宣伝記事ばかりでなく、連載も充実している。なかでも注目は片山杜秀の「未完のファシズム」。今号はその連載第九回。
小畑敏四郎は旧日本陸軍の軍人で、陸軍内派閥皇道派の中心人物。この連載における片山の魂胆は、往時の小畑周辺の声を拾いつつ、皇道派の戦略戦術に孕む矛盾を手掛かりに、近代日本の蹉跌の遠因を探る、という感じ。
片山によれば、皇道派の国際展望とは、日本は「持たざる国」であり、それは多少改善されても欧米列強に対して相対的に「持たざるまま」というものだったという。で、彼らはその持たざる分を根性で補い、分相応に侵入した敵を包囲殲滅するモグラ叩き流の内線戦略が信条だったという。要するに米国に宣戦布告するなんてのは、皇道派的には愚の骨頂だったわけだ。面白い。
講談社メチエから出てる片山の「近代日本の右翼思想」もやっぱ読むべきだな。