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○純粋無垢な野心
◇今朝の朝日新聞、荒俣宏の書評で知った本、デイヴィッド・マクラガン著「アウトサイダー・アート 芸術のはじまる場所」が面白そう。
アウトサイダーアートは、技術的にも概念的にも専門の教育うけず、我流で紡ぎだされた創作を指す。ならば、「作家」は保育園や刑務所、場合によれば動物園にだって居ても不思議でないはずだが、実際アウトサイダーアートは、ある種の患者がその担い手となっている。端的にいえば、アウトサイダーとは精神的な病ゆえの社会上の部外者なのだ。
そんじゃ、患者が疾病を克服すると、退院後の彼の創作物は価値を失うのだろうか?価値が保持されるなら、何故患者時代に発見されるのか?ま、兎に角アウトサイダーアートって概念はうさん臭さがついて回る。ぶちゃけ、言ったもん勝ち、名乗った者勝ちって感じがしないでもない。
医師が患者の病歴や心理状態を知る手掛かりであったの彼らの創作物が、一体どういう経緯でアート「作品」に化けたか?それがこの本の肝っぽい。アウトサイダーアート。そもそも作品の解釈評価が作者のコントロールを離れているという点でよく分からん。それって単に医者からアート界の山師に評価する権限が移ったってだけじゃないの?って疑問が頭をグルグルしてた昨今だったので、今まさに読むべき一冊かも。
ところで、イギリスの著名精神病院のWebサイトで患者の「作品」が掲載されているとあったので、ググってみた。ベスレム王立病院 (Bethlem Royal Hospital)ってトコらしい(ウィキ参照)。
Webサイトはこちら。
http://www.bethlemheritage.org.uk/default.asp
病院も患者の疾病状況を知る手掛かりの芸術性に気がついたのか、積極的に紹介している。けど、それって病院の役目だろうか?
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