○古今亭 その可能性の中心


◇録画しておいたテレ朝「落語人」、古今亭菊志んの回をみる。
演目は「祇園祭」。京都人の傲慢なお国自慢に業を煮やした江戸っ子が、何をこん畜生と啖呵をきり、威勢のいい早口で江戸自慢で応酬するのが見せ場。菊志ん当人が己の得手不得手をわきまえたうえで選択した噺だと思う。
有望株と太鼓判押すほど俺は見巧者でないが、天賦の才というかエレキコミックやつい似の顔がおもしろい。
師匠は古今亭圓菊志ん生の弟子だったひと。菊志ん、師匠の並々ならぬ期待が、その名に込められている。


岩波書店PR誌「図書」5月号。片岡義男の連載コラムは「フィクションの人になりたい」と題し、自身の小説作法の根幹をなす「フィクションとしての僕」について。けっこう義男本を読んできたが、コレは義男散文の最高傑作かもしれない。