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○永遠の期限
アーサー・C・クラーク短編集「90億の神の御名」より表題作を読む。
チベットの寺がスーパーコンピューターを購入するハナシ。最先端の科学技術を信仰上の行に利用するとき、我々の住まうこの世界は一体どのように軋むだろうか?といった思考実験小説のおもむき。
円城塔「Self-Reference ENGINE」を彷彿させるというとアベコベか。「密室殺人」というテーマをミステリーが内包するように、SFもまた「コンピューターの世界把握」というサブジャンルを持つのかも。
表題作「90億の神の御名」。実は読み終えた直後、全然ピンと来なかった。
あまり釈然としないので、「どういう意味?」と職場のSF読みの人に訊いてみた。が、筋を読み違えているわけでもないのだと分かっただけ。視界がぱーっと広がる式な解説は得られなかった。
帰宅して風呂に浸かってるとき、不意になるほどそういうことか!と腑に落ちた。