○馬生、鳴らないラッパ、境地


「決定盤 十代目 金原亭馬生 落語集」より、「笠碁」を聴く。
悠々自適な大店の旦那同士が囲碁に凝り、ヘボなりに楽しむさまを描いたもの。ずいぶん打っているのに上達しないのは「待った」のせいだということで、「待った」なしで打ちましょうってコトに。
聴かせどころは、「待った」する/しないの舌戦部分。イイ大人が恥も外聞もなく、おのれの碁石に執着するところが面白い。
前述したとおり、この演目の聴かせどころは「待った」の攻防部分で、オチは案外よわい。つまり馬生向きの噺でないと思う。
私見では、馬生の面白みは、余り鳴らないラッパのような、親父ゆずりの高い声にあると思う。落語というものは台詞と場面説明のナレーションのふたつから成り立っているが、オチの一言を台詞でなく、ナレーションに置き換え、その高めの声で軽く言うのが、馬生流だと思う(「千両みかん」、「茶金」)。
「笠碁」。ウィキには馬生得意の演目リストのなかに、この噺も含まれているが、上のような理由でぼくはそうは思わない。馬生の「笠碁」は、志ん生のモノマネで、彼のオリジナルな芸でない。したがって十八番、得意というのとは、違う気がする。


決定盤 十代目 金原亭馬生 落語集
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