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○戦略としての「下手っぴ」
「春風亭昇太1「権助魚」「御神酒徳利」-「朝日名人会」ライヴシリーズ29」。冒頭に別録りされた昇太自身の演目解説があって、それがよかった。
昇太の師匠は柳昇。最初っから新作をやりたくての師匠選びだった模様。しかし、師匠から新作をやる許可がなかなかおりなかったとか。だから昇太、渋々古典を演るはめに。
渋々なのは理由があって、江戸前落語の口跡がつくのが嫌だったという。新作落語家になりたいという大志というか、並外れた入れ込みようがこの辺からもうかがい知れる。つまり、昇太の古典落語の下手っぴは、折り込みずみの下手さなのだ。むろん当人からすれば。
演目解説、新作作家の視点で噺の特徴を語ったもの。ま、枝雀であればこの演目解説をマクラに盛り込むのだけど。