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春風亭柳好「ビクター落語 三代目 春風亭柳好 野ざらし、他」より、十八番の「野ざらし」を聴く。
噺は、「こぶとり爺さん」式の二段構成。調子ノリ男が隣の戸を叩くところから始まる。男、昨晩酌をしてい女は誰だと問いつめたところ、隣の隠居は白状し、昨晩の酌の女のやや怪談めいた経緯を語る。
美人なら幽霊も結構だ、オレも美人の酌にありつきたい、と男は、釣り竿を借りて釣りに出掛ける。
男、女の酌でアタマが一杯で釣り場へ。サノサを唄いながらの釣りは、怪談じみた前段と対象的な陽気ぶり。釣り糸を垂れながら、幽霊との色っぽいヤリトリを妄想する男。
度が過ぎた男の妄想ぶりを周囲の釣り客の目線で描写するわけだが、これは釣る前から獲物を空想し浮き足だつ釣り素人のパロディとなっている。
「オレも幽霊の酌で呑みたい」という変な願望がこの噺の肝。「陰にこもるんでしょ？」と男が隠居の語りをインターセプトしてから後の陽気ブルーヴ感はちょっと神懸かり的。上手いとかそういうコトじゃない。速い！兎に角速い。
「野ざらし」とは、三代目・春風亭柳好専用ザクのようなものだ。
