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○Q:ただいま東京時間午前8時21分。さて、創造主の時計は何時?
映画「スーパーマン」 (1978年)。恋人の死を悲しむスーパーマンは、何を思ったか泣きながら地球をまわりをぐるんぐるん回って、地球自転を逆回転させてしまう。すると時間が巻き戻され、恋人は甦生。。。。
那覇の今は亡きグランドオリオンで観た。当時のぼく的には全然釈然としないオチだった。今考えると、人生最初のアメリカンジョーク体験だったかも。
けど最近、例の地球逆回しの時間戻しの荒技、案外アリかもって気がしてる。
Q:ただいま東京時間午前8時21分。さて、創造主の時計は何時?
奴っこさん、察するにたぶん時計をしていない。認識って意味では見えちゃいねぇだろうな、時計。いや時計はおろか時間なんて眼中にないかも。まぁどのみち、時間とやかんの区別すらアヤシいと踏んで大方間違いない。
時間、眼中にないってどういうことか?まず「アメトーク」予約録画しない。週末彼女と映画デートもない。朝昼版の食事もないし、3時のおやつもない。むろん毎朝8時21分の有楽町線に飛び乗ることも、ない。要は時間に従属する僕らの真逆な存在が神だろうから、神さんは時間に拘束されない。
たぶん、暇とか多忙とかいうレベルに神さんは居ない。
時間の「外」に立つ。
それが神のスタンス。要は超然してるんだな、神さん。時間から銭から、色恋沙汰や老後の蓄えや一切合切から、超然!つーか、終電の時刻気にしてる神さんて、威光ゼロってゆーか、なんか頼りないし。
Q:ただいま東京時間午前8時21分。さて、創造主の時計は何時?
A:創造主は時間の外にいるから、何時でもないし、何時でもある。
で、ふと、地球を逆回転させちゃったスーパーマンがアタマをよぎる。アレって神スタンス?と思う。つまり、スーパーマンは地球のまわりをグルグルしてるうちに、時間の「外」に出てしまったんじゃないか、と。
円城塔「Self‐Reference ENGINE」。この短編連作の主人公のひとつ、計算し尽くしたがゆえに「世界」と一体になったコンピューター。ヤツもスーパーマンとおんなじ。「内」から「外」へ出ちゃったヤカラ。
Q:ただいま東京時間午前8時21分。さて、創造主にもう直ぐなるヤカラの時計は何時?
A:8時21分。
。。。。。
Q:ただいま東京時間午前8時21分。さて、就任ほやほやの創造主時計は何時?
A:創造主は時間の外にいるから、何時でもないし、何時でもある。
何時でもないし、何時でもある。これって時間に「無頓着」ってことだよね。
円城塔「Self‐Reference ENGINE」、やっぱこの小説すごいわ。今更ながら脱帽。