○最近読んでる本 − ジャック・ルーボー「麗しのオルタンス」
 (東京創元文庫 ISBN:9784488188023)
アマゾン「内容」より引用。

金物屋が次々に襲われ、深夜0時直前、大音響とともに鍋が散乱する。平和な街に続く“金物屋の恐怖”事件。犯人は?動機は?哲学専攻の美しい女子大生オルタンス、事件担当のブロニャール警部、そして高貴な血を引く猫のアレクサンドル・ウラディミロヴィッチ…。何がどうなる?文学実験集団ウリポの一員である詩人で数学者の著者が贈る珍妙な味のミステリ…なのか。 

本の雑誌」連載書評コラム「書籍化まで七光年」で、円城塔が「麗しのオルスタンス」を紹介してたので慌てて購入。
円城塔は、彗星のごとく現れた日本SF界期待の星。
氏の代表作のひとつ「Self-Reference ENGINE」」は、Googleの本丸的並列コンピューターが世界全てを計算し尽くし、結果的にソレが神となった世界を描いたもの。ソレと人間の関係は、ソレが神未満であった頃とまるで変わらないというアイデアが秀逸。
つまり、全知全能とか創造主という神定義なんて屁のつっぱりにもなりません、というわけだ。逆にいえば、神はこの宇宙を司るとか全知全能を謳わず、縁むすび、安産、交通安全とかいうぐあいに、チーム編成分業式でコトにあたった方が、神も神様っぽく振る舞えてイイんじゃない、ということ。
要するに、自己同一性ってぇのは、全体に対する己の立ち位置なわけで。裏返せば、「全体」にスタンスなんて存在しないという。。。
これはまた別の見方で、そもそも全知全能っていう神の見立てが間違っていなかったか?というギモン。
つまり、科学が科学であるために、打ち捨ててきた膨大な枝たちの存在っていうか、可能性っハナシ。で、宇宙って、案外デカい亀の背中に載ってる説が正解かもって。。。まぁ可能性ゼロじゃないっていう。。。ね。
まぁそれをハッタリと言うか、大風呂敷と言うかロマンと呼ぶかはタデ食う虫系問題で、結局何が言いたいかというと、「Self-Reference ENGINE」」ってのは、今どきのお笑いの「もしも○○だったら」式コントの数倍はぶっ飛んでるし、面白いということ。そんで、そんなSF界の彗星が手掛ける書評コラムは、間違いなく注目!!ってことだね。


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関連書籍。。。明らかに「三毛猫ホームズ」系と誤解されてるなぁ。




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