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○百面相姉弟

池袋のHMVでCDを買った。アイアン&ワインのニューアルバム「Around the Well」。それと菊地成孔の「花と水」。
アイアン＆ワインは、サム・ビームのステージネームで、パッと聴いた感じフォーキーな楽曲なんだけど、一端取り込んでからの重ねたりフィルターかけたりの音の作り込みが今っぽい。前作「The Shepherd's Dog」がめちゃめちゃ良かったので本作も購入。
菊地は、その著書「東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編」が目からウロコなポップミュージックの歴史語り本で、抜群に面白かった。もうすっかり魅了されたおれは、
「あのさー十二平均律ってのはぁ、言ってみれば音楽におけるユークリッド幾何学の役割を担っただよね」
とか酒席でブチたくてウズウズしてたりするんだけど、今日的ジャズって全然皆目見当つかんし、きたるべき酒席のためにも百聞は一聴に如かず、なんか聴いてみようってことで（HMVレコメンド展開の大橋トリオ「A BIRD」の誘惑を振り切り）、買ってみた。

帰りの車中、母親と子供ふたりの家族が横に立った。
小4くらいのお姉ちゃんと二つ下くらいの弟。ふたりはニラメッコというか露骨なヘンな顔合戦をたたかっていた。
ふだん学校でこんな遊びをしてるのか、勝負は明らかに姉に分があるようだった。まあ、弟もなかなか善戦してるのだが、姉の繰り出すオモシロ顔の連続ワザに堪えきれず笑ってしまうというあんばいだった。
けれど、おれには弟のその堪えきれず笑ったしまったときの笑顔が最高に思えた。それは、まるで世界中の小学生男子の屈託のなさを集結したようなの極上ニコニコだった。
姉よ、調子にのるな。お前のヘン顔は重要なモノが欠けている。
「策士、策に溺れる」
って至言があるけど、それは、姉っ、ヘン顔のアンタを指すんだっ！
おれは心のうちで弟にスタンディングオベーションを贈った。

「Around the Well」、良い。CD２枚組で特にディスク２がイイ。心待ちに待ってた甲斐があったよ。

Around the Well
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花と水
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東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・歴史編 (文春文庫)
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