○奇想からみえる恋愛の普遍


「変愛小説集」は、翻訳家の岸本佐知子がチョイスし訳した風変わり恋愛短小説アンソロジー
レイ・ヴクサヴィッチという人の「僕らが天皇星に着くころ」面白い。テイスト的にはしりあがり寿のマンガを彷彿。
ハナシは体が序々に宇宙服に包まれてしまう病気が流行っている近々の未来で、なんと宇宙服が完成すると、その人は否応なし宇宙に飛び立ってしまうという設定。
ふつうぼくらが「天に召された」というとき、それは神さまのとこ、天国へ行ってしまうことを指すはずが、この小説はそこらへんをズラしてまさに「宇宙に飛び立っていく」としているわけだ。
主人公は、カノジョの方が先に宇宙服化しはじめたカップル。カノジョは運命を受け入れ、飛び立つ日を静かに待つ。対して、男は運命にあらがい、二人一緒に旅立てるように知恵をしぼる。
キリスト教的無常観?
いや、寓話ぽっくもあるけど、作者は単に絵づらをおもしろさを楽しんでる感があるな。


変愛小説集
変愛小説集岸本 佐知子

講談社 2008-05-07
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