八部衆 始終  


阿修羅展の八部衆ネタでもうすこし。
鳩槃荼(くばんだ)は法華経の「夜叉」にあたる。インドの鬼神「ヤクシャ」が転訛したもの。
牙がむき出しにしたデカい口が特徴で、本邦流の鬼的な特徴がふまえられている。
髪の毛も逆立ち、像のテーマである「怒り」を表現する手管の数々がバシバシとハマっていて気持ちいい。

畢婆迦羅(ひばから)。
前にも書いたが、このキャラの素性は不明のようだ。
畢婆迦羅といえばあご髭に目がいきがちだが、髪型に注目したい。
ハンパない髪の量!
この大量の髪を盛り盛った感じのヘアスタイルと「我関せず」的な冷静沈着なタタズマイの隔たりがおもしろい。
こうした像の製作において写す神の特徴を記号的に像に落とし込む必要がある。
鳩槃荼が呼び名が違っていても夜叉だろうことが察しがつくのは、鳩槃荼の造型的記号と夜叉が共通しているからだ。
つまり畢婆迦羅が正体不明なのは、盛り盛り頭やあご髭が記号的に機能していないためだ。
換言すれば、畢婆迦羅は自由闊達に作られた神像ともいえる。
作った仏師は何故髪を盛りたかったのか?
なぞは深まるばかりだ。

なお、鳩槃荼と畢婆迦羅、阿修羅展での展示が19日(日曜)までのようだ。
八部衆のそろいぶみを見るなら、この週末を逃してはならない。
上野にレッツゴー!


・「国宝 阿修羅展」公式webサイト
http://www.asahi.com/ashura/