○阿修羅展みてきました


日曜、東京国立博物館で開催中の「国宝 阿修羅展」見てきました。
まあ、言ってみれば奈良の興福寺の宝物展なのですが、仏像界のアイドル阿修羅の東京ツアー的な趣向をこらしてた展になってました。
阿修羅がメインの催しですが、十大弟子像や鎌倉時代の仏師・康慶作の四天王像などをやって来ててスゴイのです。が、やっぱ阿修羅の仲間八部衆の他七体もそろい踏みはトリハダもので、滅茶滅茶シビレました。
八部衆とは、阿修羅、沙羯羅(さから)、五部浄(ごぶじょう)、乾闥婆(けんだつば)、緊那羅(きんなら)、畢婆迦羅(ひばから)、鳩槃茶(くばんだ)、迦桜羅(かるら)の八体を指します。この八部衆、元来は異教の神だったようです。たぶん仏教はその勢力拡大とともに、これら古代インドの神々をバンバン取り込んだっぽいです。
八部衆の顔立ちはキホンまだおさない少年の顔をしています。また、仏法の守護神的役割をになっているせいか阿修羅以外は大陸式の甲冑を着込こみ、兵士の印象です。
幼い顔立ちの兵士。八体がワンセットとというのは中国で成立したらしいです。つまり八体におさめるためにキャラの合体混合があったことが予想されます。実際、五部浄や畢婆迦羅は元々の正体わからなくなっているようです。原形をとどめぬほどの習合的な変身をとげたということでしょう。
乾闥婆と五部浄は、動物のカブリものをしています。乾闥婆は獅子のカブリもので、五部浄は象です。
五部浄は八体中もっとも破損が顕著で腕や足はなく、胸像のような状態です。またカブリもの象の鼻部分が破損していました。
ぼくは、阿修羅を除いた七体中でこの五部浄に惹かれました。キライなのは迦桜羅です。ヤツはカラス天狗のような鳥の顔に胴体が人間という小学生的な造型をしています。
五部浄のハナシに戻しますが、ぼくは、カブリものの象の鼻がどのような感じだったかを想像しました。垂れた鼻では顔が覆われてしまうので前がみえなくて不便ですし、なんか陰気です。ここはやはりパオーンと上に跳ね上げた感じが威勢がよくてシルエット的にもカッコイイはずと思いました。
満足な展でした。像への照明の当て方などに工夫がみられ、オオトリの阿修羅の展示などは、「よっ、大統領!」と思わず声が出そうな程のライブ空間振りでした。本当に素晴しいものでした。
なお、これから展に足を運ぼうと思っている方々は、阿修羅たち仏像関連よりも、興福寺という寺の由緒、位置付けや平家との覇権闘争な歴史的背景をおさらいされて行かれると吉だと思います。





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