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○ジム・ジャームッシュ監督「デッドマン」
(パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン ASIN:B000FQ5FS6)

ジム・ジャームッシュ的な西部劇映画。主人公はジョニー・デップ演じる若い会計士、ウィリアム・ブレイク。あまり冴えない男。
映画は彼が採用通知をもらった工場のある街への汽車の長旅シーンから始まる。汽車に揺られながら車窓の外を眺めると景色はどんどん移り変わっていく。座ったままに風景が後ろに流れていく。このシーンはこれから起こる災難によって翻弄される彼自身を暗示しているようだ。
目的地の町に着き採用通知を貰った工場へ出向くが、先方の手違いで彼は雇ってもらえない。社長に直接談判をするという彼、それは無駄だと嗤う工場の事務員たち。実際社長はハナシの出来る相手でなく、けんもほろろに追い返される。つまり嗤った事務員たちが正しかったわけだ。否、正しかったというのは正確ではない。事務員たちの彼の身の上を予言し、会計士は見事その予言どおり社長との直談判に失敗したのだ。
この若い会計士に自分の望まない冒険をさせること、それが監督ジム・ジャームッシュがこの映画でやりたかったことかもしれない。そして望まない冒険は、会話のなかで告知される。
手負いの彼を助けてた詩人気質のインディアン、ノーバディに対し、彼は「オマエの言ってることは意味がわからない」と悪態をつく場面があるが、しかし結局彼はノーバディの詩的な予言を実行し、ついに堂にいった御尋ね者のガンマンの風格を漂わせてしうまう。
御尋ね者のガンマンに変貌した会計士、ガンマンらしい面構えの下に運命に翻弄された若者の泣き笑いの悲哀がある。
トミー・リー・ジョーンズ監督の変な映画「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」は、この「デッドマン」に影響うけたものかもしれないと思った。

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