ウディ・アレン監督「タロットカード殺人事件」を観た。


映画の日。日比谷まで足をのばし、ウディ・アレン最新作「タロットカード殺人事件」を観た。
ウディ扮するショボクレ老手品師とスカーレット・ヨハンソンの新聞記者に野心を燃やす大学生コンビが連続殺人事件の真相に迫る「火曜サスペンス」的コメディー。
同じくイギリスを舞台にした「マッチ・ポイント」に引き続き、ウディの作品出演のスカーレットだが、今回は前作で湯水のごとく振りまいた濃厚お色気を極力抑え、惚れっぽいおっちょこちょいのアメリカ娘を好演、コメディエンヌとしても非凡な力量をみせた。作中、ウディ扮する手品師とみせる漫才のようなやりとりが素晴らしい。勘のイイ女だと思った。
メガネという小道具は、彼女の本領であるお色気を中和することに成功している。そしてメガネっ娘スカーレットも大変キュートだ。多く人はこの映画をスカーレットの作品と思うだろう。俺も半分はその意見に賛成だが、半分は違うと思う。
有り体にいえば、スカーレット・ヨハンソンという前途有望なコメディーの才能ある女優に惚れたウディ自身をスクリーンにさらすこと、それが「タロットカード殺人事件」要諦なのだ。おそらくウディは己がどのように見えているかを常に気にかける男だ。常々気にしているから、彼は先回り的に自身のセルフイメージが把握可能になったに違いない。今回もこの能力が遺憾なく発揮され、若い女優にうつつを抜かす老いた自分を誰よりも先にツッコミ、笑い飛ばすという珍芸を炸裂させている。
似たような才人として志村けんを思い出すが、志村が結局優香くらいの相方しか見いだせなかった体たらくをおもえば、ウディの胸中を推し量ることはそう難くない。
学生のころ俺は彼の映画を「大人のコメディー」と思っていた。けど、それは勘違いだった。ウディ・アレン映画は「変態のコメディー」だ。多少気取っていうならば、大人とは大嫌いな自分と折り合いをつける寛容な態度をいうのかもしれない。



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