○異色刑事ドラマ「デカワンコ」観る


録画しておいた、評判上々の多部未華子主演の刑事ドラマ「デカワンコ」を観た。「デカワンコ」は刑事ドラマというより、新米刑事ワンコの社会的、人間的成長を描くドラマなのかもしれないと思ったが、そうでなくてしたたか風変わりな刑事ドラマだった。
多部未華子演じる花森一子は警視庁の新米刑事。イヌに勝るとも劣らぬ嗅覚と名前の「一子」から「ワンコ」というあだ名されている模様。
今回観たのはその第3話目。嗅覚がずば抜けた女新米刑事という多少素っ頓狂な設定がアレだが、ドラマの体裁は「太陽の吠えろ」など往年刑事ドラマを踏襲するかのように一話一事件解決式の体裁で、途中参入組のボクも容易に大筋を把握できた。
卓越した嗅覚は新米刑事ワンコの特技であるが、これは刑事ドラマ特有の「デカ的直感」のメタファーとして機能しているようだ。「デカワンコ」において当然ワンコこそこのドラマの基調であり、彼女の嗅覚発揮は重村刑事のデカ的直感と同等の重さを持つのだ。おそらく「卓越した嗅覚」=「デカ的直感」という大胆な見立てこそ、本ドラマの肝であり、過去刑事ドラマ作品に対する構えだろう。
つまり本ドラマは、現場から持ち去られた凶器の場所を嗅ぎ当てる女刑事がいて、ワンコの周囲もその能力を高く評価し、積極的にこれを捜査に応用しようというコンセンサスを有するチームのハナシなのだ。たしかに着想は奇抜で面白い。けども、ワンコの嗅覚に疑念をもつベテラン刑事がひとりくらい居てもイイはずだ。
結局ワンコはチーム内のマスコット的存在、愛すべきキャラなのか。こんなノープレッシャーな設定、ドラマ展開する上で不便でないのか。ま、お茶の間サイドのボクが心配しても仕方がないが。
なんやかんや言ってみたが、とにかく眉間にしわ寄せ鼻クンクンさせるワンコはキュートなのは間違いない。その意味で多部未華子抜擢は魔法的ですらある。