○丑年も外市


奇数月の第一土曜日曜に池袋の古本屋・往来座の店周りで開催される古本の市、それが外市だ。今回で12回をかぞえる。運営はわめぞと名乗る早稲田、目白、雑司ヶ谷の「本に関係する仕事をしている者」の集団。
俺は彼らとは面識もない単なる通りすがりの本読みだが、このイベントにはなんだかんだマメに通っている。
なぜ俺は外市に出かけるのか。ふと、そんな疑問が脳をかすめる。
きほん俺のシマである池袋っていうこともある。しかしそれだけではない。
身の丈の町おこし。
わめぞのイベントには、ほんわかとそのにおいがある。
おそらく俺はそのほのかな香りにひかれて、ついつい脚をはこんでしまうのかもしれない。
さて今週は、正月休み開けでなんか無闇にシゴトをハッスルし過ぎ、それがせいで土曜は予想外の疲労困憊状態で、ほぼ丸一寝たきりに。翌日は充電もバッチリ体調も回復。いざ池袋!と出陣の雄叫びをあげ、地下鉄有楽町線に乗り込んだ。
底冷えの池袋。
昨日のへなへな状態からの奇跡の回復力に「俺はやっぱ本に愛されている」と自分自身を祝福したりで、テンション高めであったため、道中全く気づかなかったが、寒い。ひどく寒い。眠い(おい眠なっ!眠ると死ぬぞ!)。
寒さに震えながら、たどりついた往来座。その店周りには、ふるえながらも本を物色する猛者たちが陣取っていた。
文系サブカル若者。
それが外市の客筋の中核。例に漏れず連中がワシワシと本を漁ってるわけだが、今日の彼らはいつもより大きく見えた。


買った本

末広恭雄「魚と伝説」
(新潮文庫 昭和五七年七月十五日六刷)