○本日の一曲

鶴田浩二 - 傷だらけの人生 

鶴田浩二の名は、私の人生のなかで苦い気分と結びついている。
テレビでみかけたその独特な歌唱スタイルがビビっとくるものがあったのだろう。小学3、4年のころのわたしは、耳に手をあて、「古いヤツだとお思いでしょうが〜」と鶴田浩二の物マネをしていた。自分では面白いと確信していたので、かなり頻繁に真似た。休み時間はもちろん、音楽室への移動時や下校の際にもどしどし押し込んだ。しかし、クラスの仲間連中のウケはカラッキシだった。
以来鶴田浩二は封印した。
落ち込んだわけではないが、軽くへこみはした。いやへこむというよりむしろ、自分が面白いと思っているものを仲間に伝えられないモドカシさを感じた。小学生の私は小学生なりに一発当てようと生きていたのだ。
見る側が知っている者を真似る。
今にしてみれば、物マネの出来不出来ではなく、物マネの大鉄則を外しているがための不発だった。