○最近買った本

加藤徹「怪力乱神」
中央公論新社 ISBN:9784120038570)


ぱらぱらと読んでいる。
近代以降、中華的教養は教養の王座からサブカルチャーに転落したと俺は考えている。
近世まで、日本における知識人の教養のバックボーンは中華のそれが占めていた。ところが、明治維新による幕藩体制の崩壊はその教養体系に激変を起こさせた。中華的、東洋的な教養は旧弊であると投げ捨てられ、欧米流教養がこれに代った。
そして今現在もこの欧米流の教養は益々安泰にみえる。
欧米式教養全盛のさなか、中華の孔子の教えを記した論語を「古典」と呼び習わすとき、それは「旧弊の教養」の別称を意味するのだろう。
「旧弊の教養」とは、医学、物理学、法律学などと異なり、無用の教養ということだ。したがって、今さら中華教養に携わることは、高踏的な、趣味的なスタイルと看做される。
良し悪しは別にして、それが近代以降の日本の中国研究の風情なのだ。つまり、サブカルチャー研究なのだ。
本書「怪力乱神」の眼目は、中国人のオカルト思考の根本を探ること。また、その過程でローカライズされた日本の中華教養と、本場のそれとを分別し、お互いの途方もない隔たりをガン見することじゃないかとアタリをつけている。


怪力乱神
怪力乱神加藤 徹

中央公論新社 2007-08
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