○「SPA!」最新号の中原昌也のコラム「エーガ界に捧ぐ」を捕縛せよ


たしか小4の頃だったと思う。家族でみかん狩りで沖縄本島北部へ出かけた。休憩で立ち寄ったドライブインで俺は、あの「スペースインベーダー」に遭遇した。
二回やって二回とも速攻でインベーダーに占領される始末だった。
「これはヤラれる!!」
直感的にそう思った。だからみかん狩りの最中も俺はインベーダーのことばかり考えていた。
「このままでは沖縄の子供たちが根こそぎインベーダー退治に駆り出されてしまう!」と。
戦果のみかんをトランクに詰め込んだ帰りの車のなか、俺はひとつの結論に達した。「スペースインベーダー」にヤラれないために俺は俺たちのゲームを作らなければならない!という結論に。
今にしておもえば、当時の俺の使命感はなんとも素っ頓狂だと思う。けれど当時の俺は真剣に「スペース・インベーダー」打倒のゲーム考案に燃えていた。
あのゲームで遊ぶよりもあのゲームに負けない面白いゲームをの手で作りたい!
そういう意味で、「スペース・インベーダー」より、その製造元であるタイトーこそが俺のライバルだった。

SPA!」連載の「エーガ界に捧ぐ」は近日封切映画レビューもかねた虚虚実実の身辺雑記。
今回とりあげられたのは、デイヴィッド・リンチ監督最新作「インランド・エンパイア」。ボロカスにケナした書きっぷりだが、この際その評価はどうでもイイ。
ここ最近ずっと読んでるコラムだけど、今回のヤツが最高の出来栄えだ。猛烈にカッコイイ。
たぶん中原はレビューなんか書くつもりはさらさらなくて、「映画に拮抗した何か」になりたいのだと思った。
映画に拮抗した何か。むろんそれは映画だ。
そう、中原昌也は映画そのものになりたいに違いない。


エーガ界に捧ぐ
エーガ界に捧ぐ中原 昌也

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