宮崎哲弥「1冊で1000冊読めるスーパー・ブックガイド」
(新潮社 ISBN:410303131x)


こうした読書指南本を買うには俺はオッサンな年頃なので多少気が引けたが、ボルヘス的霊感に背中を押され購入。
「1冊でも1000冊読める〜」は、週刊文春連載の「ミヤザキ学習帳」をまとめたもの。憲法改正靖国、刑法三十九条、ニート、裁判制度、北朝鮮等、連載一回分毎の読みきり形式。週刊誌ペースで世相をキーワード化、それらのテーマを考えるうえで参考になる本を3、4冊挙げたもの。
キーワード化された個々の問題について、宮崎自身もある程度の見解を持ち合わせているだろうが、あえてそれを抑え、考えるための読書ガイドに徹しようつとめた様子。
雑誌サイゾーのM2対談片割れ宮台が想定される若い読者に「これが答えだ!」とズバっと「答え」を提示傾向にあるのに対し、宮崎は自身の見識より、考えるヒントがまず大事としたということか。ま、読書案内だからね。
小室直樹の本が頻繁に登場するのが興味をひく。もし俺が20代後半くらいの若造なら、小室のジジイの本なんか読めるか!ボケっ、と本書に向かって毒づいただろう。しかし俺も年頃のオッサンだ。あー小室ねと了解してしまうのだ。といっても小室は読まないけど。
小室は読まないが、小室に代わるような先輩をひとり確保している。それは司馬遼太郎せんせいだ。あの白髪おかっぱメガネが俺にとっての小室だ。
次期サッカーワールドカップ日本代表フォワードとして期待される平山という若造がいる。彼は高校時代、神童と呼ばれた日本サッカー界の逸材だが、最近の平山は、その才能を台無しにしていると仄聞する。
若さとは、とどのつまり馬鹿なのだ。が、その馬鹿を自覚するのとしないのとでは大きな違いがある。自覚した馬鹿はものすごく伸びるチカラを秘めている。自覚した馬鹿は聞く耳を持つ。なんでも聞けばいいというもんじゃないが、何を馬耳東風スルーし、何を頭に叩き込むかがすんなり分かってしまうのが、自覚のスゴさだ。偉大さだ。アビスパ福岡中村北斗と平山の現状の差は、この自覚の有無だと思う。
平山よ、自覚せよ、そしてお前の小室直樹の声を聴け!

連載一回分毎のキーワードを含む見出しに宮崎が滲んでいる。それはそのまま彼の世界に対するたたずまいのようにみえる。



1冊で1000冊読めるスーパー・ブックガイド
1冊で1000冊読めるスーパー・ブックガイド宮崎 哲弥

新潮社 2006-11-16
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