○G.K.チェスタトン「奇商クラブ」読み直し
東京創元社 ISBN:448811007X


チェスタトンは大好きな推理小説作家。ブラウン神父シリーズも捨てがたいが、やっぱり「奇商クラブ」が抜群に面白い。
奇商クラブはオリジナリティ溢れる珍妙な職業に従事する同士が集うもの。コレは「オリジナリティ溢れる」というところがミソ(入会規則にもそれは明記されている)で、会員たちの仕事っぷりはドレも傍目には、不可思議な行動にしかみえない。
「奇商クラブ」は珍妙な職業の列伝で、主人公バジル・グラントの友人、ガリーによって語られるという形式をとっている。
「クラブのコレクション」がガリーの趣味で、その点でも彼は絶好の語り手である。「奇商クラブ」が多少気取った調子は彼の語り口せいだが、ユーモア精神を発揮するなかなかの文才は、ホームズの友人にも引けを取らない。
当クラブについて語るうえで、彼は朗々と前口上を謳いあげる。12ページより引用。

わたしが属したそれ以外の諸々のクラブについて物語る機会があろう。「死者の靴クラブ」の行状ーこれは表面的には不道徳なものであったが、裏返してみれば、しごくもっともな集まりだった。「猫とクリスチャンの会」ーこの名前には言語道断の誤った解釈がくだされていたが、ーそれが結成された奇妙ばいわれを筆者は説明するつもりである。それからまた、「タイピスト学院」が「赤いチューリップ連盟」と合体した真相もあきらかにしておこう。ただし、「十個の茶碗」については、むろん一言の解説もあえてするつもりはない。それはともかく、諸君に打ち明けるべき最初の話は、「奇商クラブ」に関するもので。。。。(以下省略)

このあと、珍妙生業列伝バナシが開始されるわけだが、この導入は何遍読んでもシビレル。「タイピスト学院」と「赤いチューリップ連盟」合体にいたった顛末や「十個の茶碗」のハナシも是非とも聴きたい!

奇商クラブ
奇商クラブG.K.チェスタトン

東京創元社 1977-06
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