○七平ブーム

有泉貞夫『星亨』、山本七平評。

http://www.suntory.co.jp/sfnd/gakugei/si_reki0007.html

日本の政党の原形を創ったのは星亨である。田中角栄ももちろん星亨の延長線にある人物であって、彼が特異な存在だと言うわけではない。

角栄を化物扱いし、化物退治のためには手段を選ばんという世論がかつてあった。
けれど、冷静に考えてみれば、瀬戸内に橋が三つ架かっていたり、北九州や神戸に空港ができたり、つくばと東京を高速で結ぶ鉄路が開通したりているわけで、小泉首相構造改革を謳っているけれど、角栄的な列島改造論がいまだもってビンビンに元気なわけだ。
なぜ角栄的なものがいまだ蔓延るのか?
それは角栄に原因があるのではなく、日本の政治風土に由来するのではないか。
簡単にいえば、自分の生活圏に国税を使って橋や道、空港が整備されるのは大歓迎だが、他府県に税金を投入するのは絶対ゆるせん!というグランドデザイン無視の、おらが村視点のなせるわざでなかったか。
角栄列島改造論の「列島」とは、そんな村の集合体を指していたわけだ。