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○「ユリイカ 総特集 オタクvsサブカル! 1991-2005ポップカルチャー全史」2005年8月増刊号
(青土社 ISBN:4791701372)
友人から借りっぱなしだった「ユリイカ オタクVSサブカル!」を読み出す。激情家の私としては、寝かしていて正解だった。
オタク・サブカル文化の先輩として、岸野雄一と赤田祐一インタビューがある。岸野インタビュー、14ページより引用(聞き手は、ばるぼら)。
岸野 じゃあその定義づけをもっと聞かせてくれる?どういうこと?「オタクは道を極めてて、サブカルチャーは中途半端」とか、そんな感じ?
(中略)
- 岸野さんって、そういうジャンルみたいなものを考えなくても、縦に歴史を追及していたりしますよね。そういう聴き方が最近あんまり無くって。もう目の前のものをパッテ聴いてくよう感じなんですが。
岸野 「これに近いサウンド他にない?」ってことだよね。それを言ったら、そのアーティストのひとつ前の作品が一番それに近いと思うから、そうすると縦に下がるでしょ?・・・・・・で、そいつがプロデユースしたとか、そのミュージシャンの参加している作品とか、横の方も当然似てくるわけだ。だから、普通に、普通に考えれば、縦横バランスよく辿っていけるはずなんだけどね。
「オタクVSサブカル!」号には水先案内人である加野瀬未友とばるぼらのふたりの最近のオタク的状況への「なんか違う」感が漂っている。
言ってみれば、ふたりはその違和感をに土台に、あえて「オタク」と「サブカル」というに二項対立の図式を持ち出して、サブカルチャーの取り巻く今を考えてみよう、という提案が号のスタンスのなのだろう。
引用した岸野のインタビュ−の応答至極まっとうなことを言っているわけだが、聞き手のはばるぼらの気分を汲めていないように思う(すれ違いこそがインタビューを読むことの醍醐味なのだから、読者は万歳するべきだ)。視点を変えていうと、「電車男」がテレビドラマでヒットを飛ばし、サーヤが秋葉に住むカモって今日、岸野のいう「縦横バランスのとれた」趣味へ向き合う姿勢をキープオンることが困難なっている、困難なほど巷に情報が高度情報社会的にてんこもりということだろう。
ところで、土台の「なんか違う!」にツッコミを入れるなら、「オタク」の大衆化!って言葉は有効だろうし、大人はそんなに暇じゃないって居直りも可能はず。引用した岸野や終始イライラした感の赤田も、そういうアコギな真似はせず土台を尊重して生真面目に応答している。
良し悪しはあるにしても、土台をくささないというのは、コミュニケーションの最低限のマナーなんだなあという感想に落ち着く。
インタビュアーとしてのばるぼらはナイスだ。インタビュー仕事どんどんやてほしい。