内田樹の思考
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内田樹の「ためらいの倫理学」(ISBN:404370701)に宮台批判がある。
手元に文庫がなく、うるおぼえだが、世間が騒いでいる○○問題(援助交際、ひきこもり等など)なんていうのは、社会学では折り込み済みのもので、それに対する処方箋はこうだ!的宮台節の典型的な文を引用し、宮台の「なんでも分かっている人」ぶりに辟易している。宮台批判してはまっとうだが、飄々とした、いつもの「大人」スタイルを逸脱してまで内田がすべき批判なのかという点では奇異に感じられた。
内田のスタンスを私なりに推測するなら、勉強しても分からなんことはたくさんある。けれどもたまに霊感おりてきて、それで上手くいったりする。学究の徒というのは、学問研鑽をとおして、大人(人間としての)の謙虚さを身につけているはずであり、学究の徒が社会にできる貢献は大人の謙虚さを身につけるに至ったその思考的経緯を世の中に伝えていくことである、といったところか。
一方、宮台が社会学の人文知を切り売りするのは、それが役立つと信じているからだろう。
二人の学者としての役割認識は全く異なっている。


ためらいの倫理学?戦争・性・物語
内田 樹

角川書店
2003-08
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